ファイル交換ソフト「Winny」による通信をISPが遮断する措置について、電気通信事業法で定められた「通信の秘密」を侵害する可能性が高いとの見解を、総務省が示した。Winnyの完全規制を予定していたぷららネットワークスに対して17日、同省が回答した。
ぷららでは3月16日、他社ISPのユーザーが使用するWinnyとの通信も遮断することを含めた、Winny通信の完全規制を発表。5月中にも導入する予定だった。一部報道では、総務省からの回答を受けてぷららが同措置を中止することなったと報じているが、ぷららによれば、現在、今後の対応を検討している段階だという。
【追記 18:00】
今回、通信の秘密に抵触する可能性があると指摘されたのは、Winnyによる通信かどうかを判断するため、ISPが通信の内容の一部を監視する必要があることからだ。
一方、ぷららはすでに2003年より、Winnyなどの通信による帯域を制限する措置を実施している。ぷららによれば、トラフィックのパターンから判断しているとしており、今回導入を予定していた通信遮断措置においても、技術的には同じかたちでWinnyの通信かどうかを判断するという。通信内容をチェックしている点ではいずれも同じで、それをもとにそのユーザーの帯域を絞るのみに止めるか、完全に遮断するかの違いになる。今回の総務省の見解では、従来の帯域制限措置の違法性については、触れていないという。
総務省総合通信基盤局消費者行政課によれば、業務上必要となる「正当な業務」であれば問題ないと説明する。ファイル交換ソフトによる通信で帯域が占有されることがISPのサービスに支障を来たしていることから、その対策としての帯域制限は「正当な業務」にあたるとの判断だ。しかし、完全に通信を遮断するような措置になると、正当な業務の範囲からは外れる「過大」な措置と判断した。
Winnyなどの通信に対する帯域制限は、ぷららを含め、いくつかのISPで導入しているが、総務省では、帯域制限までであれば通信の秘密に抵触しないとの見解だという。
関連情報
■URL
ぷららネットワークスのニュースリリース
http://www.plala.or.jp/access/living/releases/nr06_may/0060518.html
■関連記事
・ 他社ISPのWinnyとの通信も遮断、ぷららがWinnyの完全規制を決定(2006/03/16)
( 永沢 茂 )
2006/05/18 12:27
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