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MSがデジタルメディア戦略を説明。パートナー連携で市場拡大を図る


 マイクロソフトは31日、同社のデジタルメディア技術「Windows Media Technology(WMT)」の戦略に関する記者発表会を開催した。発表会ではWindows本部のジェイ・ジェイミソン本部長が、WMTの現状や今後の展開について説明した。


デジタルメディア分野ではパートナーとの連携が重要

Windows本部のジェイ・ジェイミソン本部長
 ジェイミソン氏は冒頭、米国で5月23日から25日にかけて開催されたWinHEC 2006(Windows Hardware Engineering Conference)で公開されたWindows Vistaベータ版について言及。ベータ版の公開はWindows Vistaにおいて重要なマイルストーンであり、第4四半期の製造向けリリース、2007年1月の発売というスケジュールは順調に進んでいることを強調した。

 また、今回の記者会見がVistaベータ版の公開以降初めて日本で開催される点を指摘し、「日本はブロードバンドや携帯電話の普及率が非常に高い。また、音楽市場では世界第2位の規模であるだけでなく、海賊行為が極めて少ない」と高く評価。「デジタルメディアの成功はWindows全体の戦略であり、その中でも日本市場はとても重要視している」との考えを示した。

 「PCはすでにニッチな製品ではなく、携帯電話や音楽、動画プレーヤーなど広がっており、コンピュータの体験をさまざまな形で楽しめる」と語ったジェイミソン氏は、そうしたデジタルメディアによるライフスタイルの実現にはパートナーとの提携が鍵になると主張。「消費者や企業が欲しているものを理解した上で、あらゆるパートナーにとって価値のある製品を提供することが最終的にエンドユーザーの価値につながる」とし、WMTを利用したパートナーの製品やサービスを紹介した。

 ハードウェアとしては、アイリバージャパンの「iriver clix」、WMAに対応したNTTドコモの携帯電話「FOMA F902iS」、Portable Media Center(PMC) 2.0に対応した東芝の「gigabeat V30T」、会見と同日に発表されたビクターのポータブルオーディオプレーヤー「アルネオ」などを紹介。いずれもWM DRM10(Windows Media Digital Rights Management 10)に対応しており、従来の音楽配信サービスだけでなく今後登場する定額制の音楽配信サービスにも対応可能な点が特徴であるとした。


日本はデジタルメディア分野における重要な市場 パートナーとの提携でサービスや製品を拡充

WMAに対応したNTTドコモの「FOMA F902iS」 動画再生に対応した東芝のgigabeatシリーズ

Napsterなど定額制の配信サービスを予定。動画コンテンツも拡充

ナップスタージャパンのポール・グリーンバーグ取締役co-COO
 WM DRM10に対応したサービスとして、ナップスタージャパン音楽配信サービス「Napster」、青山キャピタルが運営する「Language Channel - ゴガク・オン・デマンド」で6月14日から開始するモバイル端末向けサービス、OCNの音楽配信サービス「OCN MUSIC STORE」での動画配信サービスなどを紹介。秋のサービス開始を予定するNapsterは洋楽・邦楽含め150万曲以上の楽曲を用意し、WM DRM10に対応したことで曲ごと課金だけでなく月額定額制での利用にも対応する。

 Language Channelは1,300以上の語学レッスンを動画や音声で利用できるPC向けサービス。6月14日からはWM DRM10に対応したWMA/WMV形式の配信サービスを開始することで、WMP 10対応のモバイル端末での利用が可能になる。料金はPCと同じ月額1,575円の定額料金で利用でき、DRMによる時限管理によってコンテンツホルダーも理解が得られたとした。

 OCN MUSIC STOREは約21万曲の楽曲を取り揃える音楽配信サービスで、OCN会員以外もNETCASHやコンテンツコースに加入することで利用が可能。5月31日からは楽曲だけでなく動画配信にも対応し、約200のビデオクリップを配信する。

 ジェイミソン氏は「WMTにより、デバイスやサービスの領域で日本の消費者は選択肢が広がる」とし「パートナーに協力していただくことで方向性がご理解いただけたのではないか」とコメント。「多くのデバイスやサービスはVistaのローンチ前から利用できるもので、消費者にぜひ体験して欲しい」と語った。


Language ChannelではWM DROM10対応の定額配信サービスを開始 OCN MUSIC STOREも動画配信に対応

iTunesとは「対応製品やサービスの幅広さが違い」

Windows本部コンシューマWindows製品部の倉本玲子シニアプロダクトマネージャ
 マイクロソフト Windows本部 コンシューマ Windows製品部の倉本玲子シニアプロダクトマネージャは、Windows Vistaに向けたWMTの展開を説明。定額制配信の対応による購入方法の選択肢拡大、ポータブルプレーヤーでの動画再生などコンテンツ視聴形態の拡充、さまざまなデバイスとの連携といった方向性に加えて、「オーディオファンに楽しんでもらえるような高音質・高画質化もテーマの1つ」とした。

 日本語版が公開されたWindows Media Player 11ベータ版は、専用デザインチームによって10からデザインを一新。11ではVista向け、XP向けと2種類が用意されるが、XPでは黒を基調としたカラーを、Vistaでは半透明のデザインを採用した点が違いとした。

 デザインの見直しに合わせてメニューも簡略化され、メニュー項目では機能のTIPSも表示。メタデータによるアルバムジャケット表示や、従来のツリー表示を排してビジュアルアイコンによる楽曲検索機能を搭載するなど、操作性の向上も図られた。なお、メタデータによる画像表示は日本語版ベータでは対応しておらず、最終バージョンまでに追って対応する予定という。

 WMT対応製品やサービス向けキャンペーン「音楽×映像 持ちだそう!キャンペーン」も展開。Windows XPパッケージ製品の販促キャンペーンに加えて、ヨドバシカメラのマルチメディアAKIBA館、ビックカメラの有楽町店でパートナー8社共同での店頭イベントも実施。Webサイトでもパートナー8社の製品やサービスを紹介する特設サイトを用意し、サイトにアクセスしたユーザーにはダニエル・パウダーのスペシャルインタビュー映像など特典を用意する。

 質疑応答でiPodとiTunesとの違いについて聞かれると、ジェイミソン氏は「携帯電話などあらゆる価格帯のさまざまなデバイスで利用でき、定額性も含めたサービスの幅広さが違い」と指摘。「iPodとiTunesは強力なメカニズムだが、サービスや製品が限られる」と付け加えた上で、「新しいWindows Media Player 11はiTunesよりも直感的に使え、アルバムベースでの検索など楽曲整理も用意だ」とのメリットを強調した。


MSがデジタルメディア分野で考える今後のユーザーシナリオ Windows Media Player 11の製品概要

デザインを一新したWindows Media Player 11 WMTの歴史

関連情報

URL
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.co.jp/

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( 甲斐祐樹 )
2006/05/31 17:43

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