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米Microsoftのセキュリティテクノロジーユニットの責任者を務めるBen Fathi氏
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マイクロソフトは1日、米国本社のセキュリティテクノロジーユニットの責任者であるBen Fathi氏らによる、セキュリティ強化の取り組みについての説明会を開催。ウイルス「Antinny」への対策など日本が独自に実施しているセキュリティへの取り組みや、今後のセキュリティ対策の方針などについて説明した。
Fathi氏は冒頭、米Microsoftが平成18年度情報通信月間 総務大臣表彰を受賞したことを報告した。これは、マイクロソフトによる情報通信の普及と発展への貢献に対して贈られたもので、特にマイクロソフトが「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」により、ウイルス「Antinny」への対応を行なってきたことも高く評価されたという。
2005年10月にAntinnyへの対応を開始して以来、Antinnyの駆除件数は現在までに約50万件に上り、日本ではAntinnyが最も多く駆除されたウイルスとなり、世界全体でもAntinnyの駆除件数は10番目に多いという。また、亜種への対応も進めており、現時点でAntinnyについては69種類の亜種に対応したとしている。
Fathi氏は、セキュリティ問題をめぐる状況について、過去には愉快犯的な攻撃が主流であったのに対して、現在ではフィッシングなどの金品目的の攻撃に変化してきていると説明。また、乗っ取ったPCをネットワーク化して悪用するボットネットや、感染の検出を困難にするルートキットの登場など、新しい技術の登場も対策をさらに難しくしているとした。
今後については、特定のターゲットに狙いを定めた攻撃が主流になるのではないかと予測。高度技術を駆使したソーシャルエンジニアリング攻撃のほか、携帯電話やPDAなど他のデバイスからPCへと感染するような異種デバイス間攻撃などの登場が予想されるとして、既にそうした兆候も一部で見られるとした。
マイクロソフトのセキュリティ対策としては、Windows XP Service Pack 2(SP2)はこれまでに2億8,500万本を配布し、ウイルスに感染する可能性を大幅に削減したと説明。また、スパイウェア対策ソフト「Windows Defender」は2,800万のユーザーが利用しており、マイクロソフトが提供したダウンロードソフトウェアとしては最も普及したソフトウェアになったと説明。Windows Defenderについては、近日中に日本語版も提供されることがアナウンスされている。
こうした対策に加え、マイクロソフトでは今後もセキュリティに関するリーダーシップを発揮していくための対策として、技術革新、業界内協力、情報提供の3点を挙げた。技術革新では、前述のWindows Defenderのほか、マイクロソフトが提供を予定している有料のセキュリティ対策サービス「Windows Live OneCare」などを推進していくと説明。また、業界内協力では各国の政府機関や世界的なプロバイダー団体、セキュリティベンダーの団体などとの協力をさらに進めるとした。
マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部の古川勝也氏は、日本独自のセキュリティ活動について、日本法人での日本語による脆弱性情報の受け付けの開始は、米国以外では日本が最初だったと説明。また、Windows XP SP2のCDによる配布や、継続的なプロバイダーとの情報交換などの独自の取り組みや支援を行なってきたとして、Antinnyへの対応だけでなく今後も日本でのコンピューティング環境をより安全なものにするための活動を行なっていきたいと語った。
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総務大臣表彰の賞状を持つFathi氏
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マイクロソフトのセキュリティへの取り組み
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関連情報
■URL
ニュースリリース(総務大臣表彰受賞について)
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2700
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( 三柳英樹 )
2006/06/01 19:45
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