総務省と財団法人マルチメディア振興センター(FMMC)は23日、映像コンテンツ事業者向けの「コンテンツ情報管理ツール」の無償配布を開始したと発表した。権利許諾手続きの際などに必要な作品名や制作者名などのメタデータを簡単に管理できるようにするためのPC用ソフトで、コンテンツの二次使用の円滑化を促すのが狙いだ。
総務省によると、現在はメタデータの形式が事業者ごとに異なるため、電子データで交換できず、各事業者が入力し直したり、そもそもメタデータを管理していない事業者もあるという。また1つの事業者内でも、楽曲リストは紙で、権利情報はデータベースで管理するなど一元化されていない場合は、検索に時間がかかったり、情報の誤りや漏れが発生する恐れもあり、コンテンツの二次使用のためのメタデータ管理には大きな手間やコストがかかるのが状況だという。
そこでFMMCでは、在京民放5局やNHKなどの放送事業者をはじめ、権利者団体や番組制作会社、配信会社など10団体24社が参加する「ユビキタスネット流通に向けた権利クリアランス協議会」での検討を経て「コンテンツ情報管理ツール」を開発し、無償配布することにした。
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「コンテンツ情報管理ツール」の機能(総務省のニュースリリースより)
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「コンテンツ情報管理ツール」を利用すれば、標準的なメタデータ体系である「J/Meta」に準拠したメタデータを作成できるため、異なる事業者間でのメタデータ交換が効率化・省力化されるとしてる。またメタデータを一元的に管理できるため、検索が迅速化されるとともに情報の誤りや漏れも発生しにくくなる。
J/Metaとは、放送番組などの映像コンテンツの流通に共通で必要とされるメタデータを整理した形式で、番組制作会社や権利者団体、放送事業者、配信会社などにより策定された。メタデータ交換の共通基盤とも言える役割を持っており、各種メタデータ形式間の変換のためのルールやXMLスキーマについては、すでに2002~2004年度に行なわれた総務省の「著作権クリアランスの仕組みの開発・実証(権利クリアランス実証実験)」で検証されている。
「コンテンツ情報管理ツール」では、J/Meta形式メタデータの入力・管理や、異なるメタデータ形式への変換のほか、コンテンツとメタデータを1つのMXFファイルとして出力するラッピング処理などをブラウザ上から行なえる。
対応OSはWindows XP Professeinal SP2で、Internet Explorer 6.0以上が必要となる。また、必要となるデータベースソフトとWebサプリケーションサーバーとして、PostgreSQLとTomcatがツールに添付されている。
関連情報
■URL
総務省のニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060623_6.html
ダウンロードサイト(財団法人マルチメディア振興センター)
http://www.fmmc.or.jp/news/H56index.html
関連記事:ブロードバンドコンテンツのシンポジウム「著作権処理に大きな成果が」[Broadband Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/10122.html
■関連記事
・ テレビ番組のネット配信に向けた権利クリアランス実験が終了~総務省(2005/06/03)
( 永沢 茂 )
2006/06/23 15:42
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