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国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 北本朝展助教授
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国立情報学研究所は「デジタル台風」サイトで19日、過去25年間(1981~2006年)に発生した台風を対象とした台風画像データベースを公開した。データベースは、誰でも無料で利用できる。
これまで「デジタル台風」サイトでは、1995~2006年までの11年間の台風画像データベースを公開していたが、今回、公開対象を1981年から発生した台風に拡大したことで、公開された画像件数は約137,700件となった。台風に特化した公開型データベースとしては、世界有数の規模になるという。
新たに公開されたデータベースは、過去25年間に発生した台風を観測した気象衛星画像約13万件を網羅的にデータベース化し、台風の画像を検索可能にしたもの。日時・最大風速・場所・中心気圧・台風の名前や番号などにより、過去の台風が検索可能だ。中でも、もっとも特徴的なのは雲の分布パターンから、類似パターンを持つ過去の台風画像を検索する機能だという。
現在、台風の中心気圧は気象衛星の雲の形や動きで人間が推定しているという。この手法は考案者の名前からドヴォラック法と呼ばれる。研究を手がける国立情報学研究所コンテンツ科学研究系の北本朝展助教授は、「将来的にはこれに代わるものとして、コンピュータが画像から中心気圧を計算するようなものを作りたいという考えは当初からあった。信頼性の高い結果を得るためには、非常に多くのデータが必要となる。これだけ集めたのは、それも理由の1つ」と述べた。
今回の発表では、台風情報データベースとともに、台風情報を台風の動きと重ね合わせて表示する、ユーザー参加型の新システムを「台風前線」サイトで公開した。
従来から「台風前線」サイトでは、ブログを利用することで、ユーザーからトラックバックで寄せられた台風情報を収集していた。これらユーザーが寄せる情報の7~8割には位置情報が付与されており、地図情報との紐づけはできていたが、時間軸の情報がまとめられていなかったという。
今回公開した新システムでは、ユーザーから寄せられた情報も時間軸に沿って参照可能となった。トラックバック情報のみを参照することも可能だが、オートプレイモードで、台風の軌跡と台風が通過した時間軸に合わせて寄せられたユーザーの情報をバルーン(吹き出し)で次々に表示することができる。これにより、気象情報で重要な時間の情報も合わせて、わかりやすく提示することが可能になったという。
北本朝展助教授は、「今後は携帯電話からの情報投稿も可能とする予定だ。画像とテキスト情報はもちろん、動画についても状況を見て対応を考えたい」として、「こうした研究では、参加者が多ければ多いほど豊かな情報になるので、ユーザーのみなさまに広くご協力をお願いしたい」と呼びかけた。
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台風画像は、台風の中心が画像の中心となるようにして形や大きさが様々な台風を同じサイズの画像に切り出したもの。こうした切り出し作業を25年分やったものを今回公開した
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「台風前線」のオートプレイモード。台風の軌跡とユーザーからの情報が時間軸に合わせて再生される
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.nii.ac.jp/news_jp/2006/07/25.shtml
台風画像データベース「デジタル台風」
http://www.digital-typhoon.org/
ユーザー参加型台風情報サイト「台風前線」
http://front.eye.tc/
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( 工藤ひろえ )
2006/07/19 16:00
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