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TOKYO MX、テレビ番組をYouTubeなど動画共有サービスで配信


 東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)は、7月から放送を開始したテレビ番組「BlogTV」を8月末からYouTubeなどの動画共有サービスで配信すると発表した。


YouTubeなどを通じて放送直後に番組本編を配信

「BlogTV」公式ブログ
 BlogTVは、「放送と通信の融合」の1つの形を実現することを目的として、デジタルガレージと共同で制作しているテレビ番組。デジタルガレージグループのブログ検索サービス「テクノラティ」のデータを活用し、インターネットで話題になっている事象を番組中で紹介。また、有名なブロガーやブログ関係者をゲストに迎えてブログを紹介するコーナーなど、ブログに特化した番組だ。

 番組の公式ブログも用意し、感想や意見などをブログで受け付ける。また、ワンセグのデータ放送とも連携。ワンセグからBlogTVを視聴するユーザーは、データ放送経由でテクノラティのモバイルサイトへ移動、詳細な情報を閲覧できる。

 すでに番組のリハーサル模様などはYouTubeを利用した動画が公式ブログに掲載されているが、8月下旬からは番組本編を「YouTube」「Google Video」「Revver」の3サービスを通じて配信する。番組は毎週金曜22時から22時30分まで放送され、放送終了後に番組をコーナーごとに分割。インターネット向けにエンコードした後で順次アップロードする。アップロード時間は明確に決められていないが、週明けにはネットで見られる状態にするのが目標という。

 なお、動画共有サービスによっては広告映像を挿入できないため、配信するのは番組本編のみ。基本的には8月下旬以降に放映された番組を配信するが、過去放送回に関しても許諾が取れた部分については配信する予定。ブロガーの登場コーナーなどは全員に許諾が取れているため、順次配信していくという。


出演者コメントなどはすでにYouTubeで配信されている 番組の模様

配信する番組は著作権をクリア。ユーザーの編集や二次配信も可能

TOKYO MXの本間雅之取締役編成局長
 TOKYO MXの本間雅之取締役編成局長はBlogTVについて「番組改編の目玉として考えていたが、東京ローカルで放映しているために見られない地域も多い」と説明。「投稿型の動画共有サービスを使うことで新たな視聴者層を開拓していきたい」との意気込みを示した。

 報道制作部の草場大輔プロデューサーは、「海外ではYouTubeやPodcastingなどでテレビ番組を配信している事例はあるが、国内でタイムラグなく見られるように配信するのは初めてではないか」とコメント。「制作側としてはより多くの人に見てもらえることが嬉しい。どのような反響があるかはまだわからないが、放送のマインドでは思いつかないような新たな可能性や方向性に期待したい」とした。

 番組プロデューサーを担当するデジタルガレージの舟橋義人氏は「ブログの世界ではマスコミ発の世論形成とはまた違った、草の根的な世論形成の場になっている点が非常に面白い」とブログの魅力について言及。「こうしたインターネットの盛り上がりをどうにか番組のコンテンツとして成立できないか、と考えたのがBlogTVだ」と説明し、「放送と通信の融合・連携という1つの形ではないだろうか」と語った。

 番組のネット配信については、スポンサーや出演者などから著作権に関する許諾を得ている。また、配信された番組についてはクリエイティブコモンズにより、BlogTVの番組であることを銘記すれば動画の編集も可能。番組出演者でもあるテクノラティの山崎富美氏は「番組を面白いと思った人が他の言語の翻訳をつけて再配信することで、コンテンツが世界中に広がっていくインターナショナル化を期待したい」と語った。

 ただし、BlogTVのコンセプトがTOKYO MXの全番組に適用される訳ではない。「抗議すべき著作権違反にはきちんと対応していく」(本間氏)とし、BlogTV以外の番組を不法にアップロードされた場合などは削除要請などを行なっていくとした。


報道制作部の草場大輔プロデューサー デジタルガレージの舟橋義人氏

ネット配信で番組の視聴増も期待。Podcastingや携帯電話対応も検討

番組出演者でもあるテクノラティの山崎富美氏
 テレビ番組本編をネットで配信するという柔軟な姿勢は、TOKYO MXという会社の体制にも寄るところが大きいという。本間氏は「TOKYO MXは日本で129番目に開局した後発の放送局。仲良くしているテレビ局はあっても、テレビ局ネットワークの厳しいしがらみなどは存在しない」とコメント。「制作したソフトはできるだけ多くの人に見てもらいたい」とネット配信への期待を示した。

 今回のネット配信はあくまで実験的なもので、ネット配信での収益などは現在のところ考えていない。本間氏は「我々は放送事業者であり、あくまで放送を主体に考える」と前置いた上で、「ネット配信によってTOKYO MXの番組を視聴するという流れを期待している。放送局の免許事業もきちんとこなしていくが、ネットなどそれ以外の領域も積極的に拡大していきたい」と意欲を見せた。

 フジテレビはオリジナルの動画共有サービスを立ち上げているが、「コストの面から考えて、まずはサービスとして認知されているYouTubeなどを使うことにした」。すでに国内の動画共有サービスからもBlogTVの配信について問い合わせが来ており、配信サービスは今後も拡充していく予定。また、今後は動画のPodcastingや携帯電話での動画配信も検討を進めていく。


会見はBlogTVの収録スタジオで行なわれた 発表会の司会も番組と同じく金澤カオルが担当

関連情報

URL
  BlogTV公式ブログ
  http://trj.weblogs.jp/blogtv/
  TOKYO MX
  http://www.mxtv.co.jp/
  テクノラティ
  http://www.technorati.jp/

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( 甲斐祐樹 )
2006/08/24 19:00

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