Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

「子どもの携帯電話はネット接続できないものを」警察庁の研究会が提言


 警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」は22日、「携帯電話がもたらす弊害から子どもを守るために」と題した報告書を公表した。携帯電話を通じて子どもたちが違法・有害情報にさらされ、危険に直面させられている状況だとし、対策の取り組みの強化などを提言している。

 同研究会では2006年4月以降、ゲームやインターネット、携帯電話など情報化の進展が子どもたちにもたらす弊害について審議しているが、中でも重要性・緊急性の高い携帯電話に関する課題について今回、報告書にとりまとめた。

 報告書ではまず、携帯電話が子どもにもたらす弊害として、1)子どもが違法・有害情報にさらされていること、2)子どもが非行・犯罪を犯したり、犯罪に巻き込まれる危険性が高まっていること、3)子どもの成長にとって好ましくない結果が生じることが懸念されること──の3つを挙げる。

 なお、3)は、いつでもどこでも利用できることによる使い過ぎの弊害やメール依存のことを指しており、「食事中や懇談中にも携帯電話を利用し続ける」「携帯電話がないと落ち着かない、携帯電話を抱いて寝る、携帯電話が止められたとたんにパニックになる」「些細なことで友達関係を解消するなど、人間関係において短絡的な思考を行なう」といった懸念される行動例を示している。

 さらに、こういった「弊害」への対策としてすでに各地で行なわれている啓蒙活動や条例の制定や、フィルタリングサービスといった取り組みを紹介。しかし、これらの取り組みが統一的・系統的に実施されていないために、「全体としては子ども、保護者、学校等が携帯電話の危険性についての認識を十分に共有されているとは思われない状況にある」として、社会全体における取り組みが不十分であると指摘する。

 これらの状況を踏まえた上で報告書では、取り組みの強化に向けて緊急に対策をとるべき方向性として、1)子どもに携帯を待たせるべきかなどについて、保護者や学校などでの議論を喚起し、社会的なコンセンサス作りを早急に進める必要、2)携帯電話がもたらす危険性や子どもに安全な携帯電話を持たせることの必要性などについて、子どもや保護者の間で理解が深まるよう、取り組みを広範・緊急に進めること、3)子どもに携帯電話を提供する際には、子どもが違法・有害情報に触れないものとするなど、携帯電話会社などに対して対策の格段の強化を求めていくべき──という3つを挙げている。

 3)については具体的には、子どもに携帯電話を提供する際には「インターネット接続機能を有しないものや、フィルタリングを設定した状態で販売することを基本とすべき」としている。また、フィルタリングを利用しないですでに携帯電話を所有している子どもやその保護者に対しても、携帯電話会社がフィルタリングの必要性について説明し、利用を求めていくべきとしている。


関連情報

URL
  携帯電話がもたらす弊害から子どもを守るために(PDF)
  http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen29/keitaidenwa.pdf
  バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会
  http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen29/Virtual.htm

関連記事
「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」警察庁が設置(2006/05/09)


( 永沢 茂 )
2006/09/28 16:28

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.