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2006年は「NTTのあり方の見直し」「MNP開始」が2大トピック~KDDI社長会見


 KDDIは20日、定例の社長会見を開催した。小野寺正代表取締役会長兼社長は冒頭、17日にシステムトラブルによりMNP(携帯電話の番号ポータビリティ制)の手続きを停止したことをお詫びするとともに、今年1年の同社の取り組みや通信業界の動向を振り返った。


MNP停止、DIONの顧客情報流出についてあらためて謝罪

KDDIの小野寺正代表取締役会長兼社長
 小野寺社長は、17日にMNPの手続きを停止したことについて、「利用者や他の通信事業者、代理店などにご迷惑をおかけしました」と謝罪。原因については、新規の契約やMNPの申し込みが短時間に集中したことと、システムに設計ミスがあったことから受付処理時間がかかるようになったため、MNPの受付を停止したと説明した。

 今後の対策については、ハードウェアの増設により分散処理を行なったことで、現在はシステムは順調に稼動していると説明。また、今週末にも申し込みが集中すると考えられることから、さらにハードウェアの増設やアプリケーションの処理見直しによる負荷の軽減を図るとともに、春の商戦期に向けてさらに増強策を検討し、信頼回復に努めていきたいとした。

 小野寺社長は通信業界の2006年を振り返って、特筆に値することは大きく2件あるとして、政府の「通信・放送のあり方に関する懇談会」においてNTTのあり方が議論されたことと、MNPが開始されたことを挙げた。NTTのあり方に関する議論については、「現在、新しい競争ルールについて検討が進んでおり、公正競争が担保される環境を整備する上で、大きな方向性が示された年だった」とし、MNPが開始されたことで「お客様が通信事業者を選ぶ目が、より一層厳しくなってきていると感じている」と感想を述べた。

 2006年のKDDIについては、まず最初にインターネット接続サービス「DION」の顧客情報約400万人分が外部に流出した問題を取り上げ、小野寺社長は「数多くの顧客情報を取り扱う通信事業者としての立場を強く認識している」として、セキュリティエリアへの入退室管理の強化、各種アクセスログの永久保存、顧客情報取り扱い専用PCの導入など、顧客情報の保護をより一層徹底するため、各種の対策を順次実施していると説明。こうした取り組みにより、顧客の信頼を回復していきたいとした。

 また、2006年は特に固定通信事業の建て直しに力を入れてきたとして、パワードコムとの合併や東京電力の光ネットワークカンパニーの統合を進めてきたとして、今後は統合効果を早期に発揮し、関東圏のサービスエリア内でシェア30%の獲得に向けていきたいとした。さらに、2006年にはケーブル事業者のジャパンケーブルネットワーク(JCN)にも出資しており、「来るべき固定・携帯・放送が融合するFMBCの時代を迎えた時に、NTTに対抗できるよう一歩一歩前進させていく」と抱負を述べた。

 移動体通信については、MNPの開始を控えて新しい端末やコンテンツの投入を進め、5月にはGoogle、7月にはグリーとの提携による新たなサービスを開始したほか、9月からはマルチキャスト配信による「EZチャンネルプラス」「EZニュースフラッシュ」を開始するなど、「一歩先行くサービス」を提案してきたと説明。これにより、MNPの状況については「auは順調な滑り出しになったと考えている」として、今後もさらに競争力の強化に努めていきたいとした。


NGNには「自由度が剥奪されるのではないか」と危惧

 質疑応答では、NTTグループが進める次世代ネットワーク(NGN)構想について小野寺社長は、「現状ではメタルプラスやフレッツなど、末端をNTTに依存しているサービスが多い。NGNになってしまうと、こうした自由度が剥奪されるのではないかと危惧している」とコメントした。

 また、2007年にはWiMAXの免許が交付されるのではないかという見通しを示したが、「WiMAXは携帯電話に代わるサービスではなく、新しい市場を開拓するサービスと考えている」とコメント。無線LANとWiMAXの両方が利用できるチップの開発なども進んでおり、こうしたチップがPCに搭載されるようになれば広く利用されるサービスになる可能性が高いとして、「KDDIとしては、次世代の通信サービスとして是非やらせていただきたい」と述べた。

 WiMAXについては、NTT東西やNTTドコモなども提供の意向を示していることに対しては、「グループ内競争をやろうという意識だとしたら、それは良いことだと思う。2010年に見直しという話もあるが、NTTグループ内で競争しようという意識が出てこなければ、本当の意味でのNTT問題は何も片付かない」として、NTTグループ内での競争が進むことを望んでいるとした。

 携帯電話の販売奨励金については、「奨励金は下げていく方向が正しいとは思っているが、下げたからといって状況は変わらない。販売店は、他店が値下げをすればそれに追随しなければならない。大型テレビの販売価格もどんどん下がっているように、価格決定権は誰が持っているのかという話」とコメント。「奨励金が無くなれば、キャリアとしてはむしろ楽になる。大きな影響を受けるのはメーカーや販売店。例えば、ワンセグを搭載した端末が仮に5万円だったとして売れるだろうか。奨励金を無くせば通話料が下げられるはずというのは、その部分だけで言えばその通り。しかし、日本市場が先進的なのは、インセンティブモデルであるために、新サービスと新機種を同時にリリースできた点にある。新サービスの普及を遅らせることは良いことなのかという議論も必要ではないか」として、販売奨励金を下げることの影響は大きく、どのようにしてソフトランディングさせていくかを考える必要があると述べた。


関連情報

URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/
  関連記事:KDDIがMNP業務を一時停止、18日から通常通りに[ケータイ Watch]
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/32465.html
  関連記事:関連記事インデックス KDDI顧客情報流出事件
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2006/06/16/

関連記事
NTT和田社長、NGNに「不退転の決意で取り組む」(2006/12/20)


( 三柳英樹 )
2006/12/20 18:35

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