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米Appleのスティーブ・ジョブズCEO、4大レコード会社にDRM廃止を提言


 米Appleのスティーブ・ジョブズCEOは6日、DRM技術に対する考えを同社サイトで発表し、4大レコード会社に対して「楽曲のDRMを廃止するべき」との意見を訴えた。

 ジョブズCEOは、同社の「iTunes Store」で販売する楽曲に対して、不正コピーを防ぐDRMの廃止を求める声が出ていると指摘。今後の対策として、将来的に実現可能な3通りの方法を紹介した。

 まず1つ目としては、AppleやMicrosoft、ソニーなど音楽プレーヤーを手がける企業が独自に展開するDRM技術をそのまま使い続けるということだ。しかし、この提案については、iTunes Storeで購入した楽曲をiPod以外の音楽プレーヤーで視聴できなかったり、他の音楽配信サービスで購入した楽曲をiPodで視聴できないことなどから、利用者の権利を制限すると批判されているという。

 次に2つ目としては、Appleが手がけるDRM技術“FairPlay”のライセンスを提供して、他社の音楽プレーヤーや音楽配信サービスとの互換性を確保することだ。これにより利用者は、iTunes Storeで購入した楽曲を他社の音楽プレーヤーで視聴することが可能となる。しかしジョブズCEOは、「DRMを他社に公開することで技術情報が漏れ、FairPlayのセキュリティ確保が困難になる」と指摘。その結果、レコード会社に対して著作権管理を保証できなくなるとしている。

 最後の3つ目としてはDRMの廃止を挙げる。DRMを廃止することで、あらゆる音楽配信サービスで購入した楽曲をすべての音楽プレーヤーで視聴できるため、「利用者にとって最適な手段」(ジョブズCEO)と訴えている。ジョブズCEOは、同社がDRM技術を採用した理由について、「Universal、Sony BMG、Warner、EMIの4大レコード会社の要求があったため」としており、仮に4大レコード会社が、DRMフリーの楽曲を提供してくれれば、iTunes StoreではDRMを廃止するとの考えを示した。

 また、4大レコード会社のDRMに対する取り組みについては、「オンライン販売する楽曲にはDRMによる保護を求めるが、レコード会社の売上の大半を占めるCDに対してはDRMを適用していない」と批判。さらに、CDの音源は簡単にインターネット上に公開され、違法にダウンロードされうるとした。

 ジョブズCEOは、DRMが廃止されることにより、革新的な音楽配信サービスや音楽プレーヤーに投資しようとする新規参入企業が増え、音楽業界が活性化すると主張。このことは、レコード会社にとってプラスの影響しか与えないとして、DRMの廃止を呼びかけた。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.apple.com/hotnews/thoughtsonmusic/


( 増田 覚 )
2007/02/07 16:56

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