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アッカ決算、2007年度はモバイルWiMAXや映像事業などに注力


 アッカ・ネットワークスは15日、2006年度(2006年12月期)の決算発表会を開催。決算報告とともに、2007年度における事業展開に関する説明も行なわれた。


経常利益・純利益は11月予想を上回る。個人の純減は改善傾向に

アッカの坂田社長
 2006年度(2006年1月~12月)の連結経営業績は、売上高が388億2,900万円、営業利益が18億8,000万円、経常利益が19億800万円で、純利益が10億6,100万円。2006年11月9日発表の業績予想と比較した達成率は、売上高は0.4%マイナスと未達となったが、経常利益は6.0%増、純利益は18%増と予想を上回った。

 個人・法人の売上高は、個人向けサービスが前年度比29億円減の314億円で、企業向けサービスが12億円増の69億円。企業向けでは成長傾向が続いており、売上比率も前年度の14%から18%へと上昇した。なお、今年度配当は当初予定の通り1株5,000円を予定。2007年度に関しても、中間期2,500円、期末2,500円の合計5,000円の配当を予想している。

 個人向けサービスの加入件数は前年14.1万件減の110万件で、このうち光ファイバサービスは約1万件。四半期ベースでの純減数は、第2四半期の4.6万件から、第3四半期が3.4万件、第4四半期が2.3万件と改善傾向にあるとしており、坂田好男代表取締役社長は「季節的な変動が過ぎた点と提携ISPとの連携強化、12Mbpsパックやキャンペーンなどが一定の効果を上げた」と説明。また、「本年第1四半期である2月の動きを見ても、個人的には大きな減少はないと思っている」とした。

 企業向けサービスでは8.3万件増の49.5万件で、光ファイバサービスは約500件。坂田社長は「アパレルや運輸関連をはじめ、受注見込みは8,000回線を超えている」と語るとともに、「光ファイバサービスでも大口案件が入り始めた」と発言。1月末現在では712局で光ファイバサービスの開局が進んでおり、「光サービスにも勢いをつけていければ」と期待を示した。このほか、M2Mを含めたソリューション支援事業に関しては「種をまいているところ」と坂田社長は述べ、中堅・中小事業所をターゲットに取り組みを強化する考えを示した。

 2007年度の連結業績予想に関しては、「個人向けDSL市場の縮小に伴って減収を見込んでいる」ものの、企業向けサービスへの注力、経営の効率化、コスト削減を進めていく考えを示し、「2006年度並の利益を確保したい」とした。具体的な数値に関しては、売上高が2006年度比6%減の366億円、経常利益が横ばいの19億円、純利益が40%増の14億円を予想している。


個人向けサービスの加入者・ARPU推移 2006年度売上状況 2007年度業績見込み

モバイルWiMAXはルーラルエリアから展開。映像事業へも注力

モバイルWiMAX免許取得時のエリア戦略
 今後の事業展開としては、個人・企業・M2Mサービスを同社の事業基盤と位置付けた上で、WiMAX事業とソリューション事業、映像コミュニケーション事業の3つが挙げられた。

 WiMAXについては、IEEE 802.16e(モバイルWiMAX)の実証実験用免許を取得して、2006年12月から神奈川県横浜市中心部で実証実験を開始済み。また、2月14日には新潟県魚沼市におけるモバイルWiMAXの実験用免許申請を行なったと発表している。

 坂田社長は同社が掲げるWiMAX連合体の意義を説明した上で、「ルーラルエリア(過疎地域)から地方都市、都市部の順に全展開を図っていきたい」と、免許取得時のサービス展開構想を明かした。また、通信端末や機器に関しては国内外問わずメーカーを選定する考えを示し、スケールメリットやコストダウンが図れる点を強調。「『3GSM World Congress Barcelona 2007』ではPDA型の端末が多く出展されていると聞いている。これらがブレイクし、モバイルWiMAXが登場した際には、これまでとは少し違う世界になるのではないか」と自身の考えを示した。

 モバイルWiMAXにおけるMVNOに関しては、従来の通信事業者が設備・中継網・運用を担う方式に加えて、地方のCATVなど自ら事業展開する企業に対して中継網や運用を提供する方式も検討する。また、パートナー企業がいないエリアについては、アッカが自前でサービスを展開するという。

 坂田社長は「連合体形成によってコストが削減可能になるほか、MVNOや直販・販社経由によるモバイルWiMAXサービスの提供によって、エンドユーザーを巻き込んだ“BWA 2.0(mobile 2.0)”的な連合体に発展できる」と述べた。なお、モバイルWiMAXに対する投資額は非公表だが、同社WiMAX推進室副室長の高津智仁氏によれば「そこまで大きな額ではない」という。また、免許取得ができないケースは「想定していない」との考えを示し、「実証実験を通じて無線に関するノウハウを蓄積しており、万一のことがあってもゼロになることはない」と語った。


湯崎副社長
 映像事業への参入は1月30日に発表会が開催されているが、湯崎英彦代表取締役副社長から改めて説明があった。映像事業は1月30日に動画共有サイト「zoome(ズーミー)」を開始しており、3月1日には企業向け動画配信プラットフォームの提供も開始する。なお、zoomeでは外部日記の取り込み機能やメッセージ機能、コミュニティサークル機能といったSNS的な機能を強化させるという。

 湯崎副社長は、「当社の既存事業と動画配信プラットフォーム、zoomeと動画配信プラットフォームの組み合わせによってシナジー効果が見込まれる」と語るとともに、「通信と放送の融合による新たなビジネスチャンスを確実に掴んでいきたい」と抱負を述べた。その上で、アッカのソリューションプラットフォームに加えることで、「パートナー企業に対して基盤アプリケーションとともに、トータルソリューションとしての提供が可能になる」とした。

 なお、NTTグループが進めている次世代ネットワーク(NGN)に関しては、「まだ良くわからない状況だ」と坂田社長はコメント。「NGNが登場してもDSLサービスは存在するわけで、その際のインターフェイスの互換性や接続性などを今後調査していきたい」と述べた。


映像事業を通じて、新たな収入源確立も目指す ソリューション事業ではパートナーやソリューションの拡大を継続させる

関連情報

URL
  アッカ・ネットワークス IR情報ページ
  http://www.acca.ne.jp/ir/index.html
  関連記事:アッカ、新潟県魚沼市でのモバイルWiMAX実験用免許を申請[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/17137.html

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アッカ、動画共有サービスや法人向け動画プラットフォーム提供を開始(2007/01/30)


( 村松健至 )
2007/02/15 19:54

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