IBMは、視覚障害者もネット上のストリーミングビデオやアニメーションを楽しめるアクセシビリティ向上ツールを開発したと発表した。このツールは日本IBMの東京基礎研究所で開発されたもので、全世界で1億6,000万人を超えるとされる視覚障害者にマルチメディアコンテンツの世界を開くことになりそうだ。
視覚障害者は見る能力は限られているが、音声を耳で聞くことはできるため、読み上げソフトや音声ブラウザを使用する。しかし、こうしたソフトウェアはマルチメディアアプリケーションを扱えないことが多い。多くのマルチメディアアプリケーションのコントロールボタンはマウスで操作することを前提としており、キーボードで操作するようにできていない。また、ページが読み込まれると同時に動画が流れるページでは、読み上げソフトの音声と動画の音声がかぶってしまうという問題があった。
今回開発されたツールは、こうしたマルチメディアアプリケーションのコントロールボタンをキーボードで操作できるようにした。それだけではなく、動画の再生スピードやボリュームを上げる機能もある。これは、視覚障害者は読み上げソフトのスピードを高速化して聞くことが多く、動画の再生速度そのままではあまりにも遅く感じられるからだ。また、動画と読み上げソフトの音源のボリュームを別々に操作することによって聞きやすくすることもできる。
コンテンツ制作者向けの機能もある。動画の中で何が起こっているかを音声で伝えたい場合、メタデータとしてナレーションを提供することによって視覚障害者にも動画の内容をわかりやすく説明できるようになる。
IBMではこのツールをオープンソース化することを計画している。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/20070312001.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/03/14 12:22
- ページの先頭へ-
|