ACCS、イタリアの著作権管理団体と海賊版対策で協力

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ACCS、イタリアの著作権管理団体と海賊版対策で協力

「グレンダイザー」「火の鳥」など5万枚押収

ACCS専務理事の久保田裕氏（左）とSIAEの侵害行為対策本部長を務めるVito Alfano氏（右）

　コンピュータソフトウェア著作権協会（ACCS）は14日、イタリアにおける日本製アニメやゲームソフトの海賊版対策で、イタリア著作権者出版者協会（SIAE）と協力することで合意したことを公表した。

　すでに5月28日付で合意文書が取り交わされた。合意内容としては、日本のビデオゲーム、コンピュータソフト、映画、アニメを収録した媒体について、イタリアにおける販売や輸入の情報を交換することなどが含まれている。

　SIAEはイタリアで唯一の著作権管理団体で、演劇や放送も含めてあらゆる著作物を管理している。同国内で著作物を流通させる際にはSIAEに申請しなければならず、許可を得たパッケージには「SIAEマーク」のホログラムシールが貼付される仕組みだ。

　しかし、ACCSの調査やイタリア当局の摘発などにより判明したところによると、海賊版にもこの正規のSIAEマークが貼付されている例もあるという。SIAEへ許諾申請を行なう際には、その販売業者が正規の流通ライセンスを有していることを証明するため、権利者と締結している契約内容をSIAEに提示する必要があるが、これに虚偽の契約書が用いられているものと考えられる。

　SIAEによれば、申請の審査期間は10日間しかなく、外見上ライセンス契約が整っていればSIAEマークを発行しているのが現状。特に日本のコンテンツなどは契約書の内容が真実かどうか確認するのが困難だったという。今回、SIAEとACCSが相互協力することで、日本のコンテンツに関して不備のあったSIAEマークの許諾プロセスを改善していく考えだ。

● すでに協力の成果、5万枚の海賊版DVD押収

イタリアで流通していた海賊版DVD。「ソニックX」のパッケージ裏側に貼付されているホログラムシールが「SIAEマーク」

アニメBGM集の音楽CD。下が海賊版

　SIAEとACCSの協力体制は、すでに成果として挙がっている。イタリア中部と北部の5都市を対象に行なわれた捜査で6月12日、5万枚の海賊版DVDが押収された。告訴したのはスクウェア・エニックス、ダイナミック企画、手塚プロダクション、集英社、講談社、東映アニメーションの6社で、「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」「UFOロボ　グレンダイザー」「火の鳥」などの海賊版が対象となった。これらは香港や台湾、中国で製造されたものと思われるという。音声は日本語のままで、中国語と英語、イタリア語などの字幕が付いていたとしている。

　なお、ACCSによれば、イタリアにはアニメのDVDやフィギュア、翻訳コミック、主題歌集のCDなどを扱う“アニメショップ”があるが、正規のショップで海賊版を堂々と販売しているなど、日本のコンテンツについては逆に正規品を探すのが難しいこともあるという。また、中国などとは異なり、イタリアでは正規品と海賊版が同じ価格帯で販売されているのも特徴だ。これは、イタリアでは正規品の流通が少ないとともに、パッケージ化される前のタイトルがテレビ放送などから複製されていち早く海賊版で流通することが理由。一方、正規品が発売されると、そのタイトルの海賊版は市場から消えるという。

　このように海賊版が格安品としてではなく、消費者にとっては正規品とあまり変わらない位置付けで流通していることに関して、ACCS専務理事の久保田裕氏は「日本のコンテンツが世界中で正規に流通する努力をしているのだろうか？　権利行使をきちんとやらなければ、著作権を守ってはもらえない。海賊版が出てくる状況を自ら招いたのではないか。」とコメント。海賊版を摘発することはもちろんだが、日本のコンテンツホルダーに向けては海外におけるビジネス戦略の重要性を訴えた。

　また、SIAEの侵害行為対策本部長を務めるVito Alfano氏は「日本のコンテンツを保護することは、日本の文化を保護すること。イタリア国内において日本の文化がもっと普及してほしいという希望を持っている」と語った。

関連情報

■URL
　コンピュータソフトウェア著作権協会
　 http://www2.accsjp.or.jp/
　関連記事：日本アニメなど海賊版DVD400枚がローマで押収[AV Watch]
　 http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060407/accs.htm

（永沢茂）
2007/06/15 12:33

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