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「Second Lifeがゲームを吸収する」、水口哲也氏

電通の「バーチャル東京」説明会でパネルディスカッション

左から、週刊アスキーの福岡敏弘総編集長、電通メディアコンテンツ計画局企画調査部の粟飯原健スーパーバイザー、ゲームクリエイター水口哲也氏、映像クリエイター真島理一郎氏

「世界中の人とペアが組める」と話す水口氏

「世界大会では解説をする」と話す真島氏
 電通は24日、3Dバーチャルワールド「Second Life」内に、複数のSIMで構成された仮想都市「バーチャル東京」を開設した。公開前日に実施したプレスプレビューでは、バーチャル東京の総合プロデューサーであるゲームクリエイター水口哲也氏や、映像クリエイター真島理一郎氏らによるパネルディスカッションが行なわれた。

 バーチャル東京は、現実の東京を再現したものではなく、「人々が持っている東京のイメージを具現化したもの」(水口氏)だという。「渋谷を作るとか、秋葉原を作るとかではなく、東京の文化やエネルギーをバーチャル東京に詰め込みたいと考え、その第1弾として『スキージャンプペア』を持ち込んだ」と水口氏は話す。

 スキージャンプペアは、真島氏が2002年に発表したCG作品。2人の選手が1組のスキー板に乗ってジャンプをする架空のスポーツを描いている。奇抜な技の数々や、それを真面目に解説する実況中継が笑いを誘う。DVDは第3弾までリリースされており、50万枚の売上を記録しているという。

 「5年前に見た時は衝撃を受けた。ゲームにしたいという話も来たが、当時はスキージャンプペアをゲームとして完成させる自信がなかった。Second Lifeが始まったとき、これだ!と思った。Second Lifeの参加して楽しいところや経済活動、広告などを絡めて考えたとき、これほど相応しい日本のコンテンツはないだろう」(水口氏)。

 Second Life版スキージャンプペアでは、バーチャル東京の中心付近に高さ200mのジャンプ台「東京シャンツェ」を設置。ジャンプ台の上は広場になっており、中心にはウェアや板の自動販売機があるほか、競技のレギュレーションや遊び方を確認できる。ユーザーは、アバターでペアを組んで参加する。

 真島氏は、「飛距離を争うことはもちろん、作品にある技を再現したり、将来的にはユーザーがオリジナルの技で飛べるようにしたい」と話す。定期的に国際大会を開催する考えで、レギュレーションなども現在検討中という。競技では、ユーザー同士が協力することで飛距離が伸びたり、着地が成功するような仕組みになる予定だ。なお、スキージャンプペアがプレイできるのは9月中旬からとなる。

 スキージャンプペア以外のコンテンツとしては、「東京ポップミュージアム(仮)」も検討されている。「海外の観光客が日本に来たとき、日本のポップカルチャーを1カ所で見られるような施設はあまりない。そこで、バーチャル東京内にミュージアムを作り、クリエイターの作品を展示したい。入場料は寄付という形でいただき、ある程度貯まったら現実世界でミュージアムを作りたい」(水口氏)。


 バーチャル東京の開設当初は、競技施設「VTスタジアム」にて、「世界陸上」と連動したコンテンツを用意する。電通およびTBS、プレゼントキャストらが共同でイベントを実施。スタジアム内の大型スクリーンでは、世界陸上に関連する動画を配信する予定だ。ユーザーは、9月1日までの期間中、アバターによる100m走やマラソン、砲丸投げなどがプレイできる。

 例えば、砲丸投げにはパワーゲージがあり、ゲージが最大値に達したときタイミング良くクリックすることで、より遠くへ飛ばすことができる。「普通のスポーツゲームの雰囲気と変わらない」(水口氏)という。また、電通メディアコンテンツ計画局企画調査部の粟飯原健スーパーバイザーは、「マシンのスペックが、アバターの運動神経に影響する」と説明した。

 真島氏は、Second Lifeの魅力について、「現実と同じようなことができるし、現実ではできないことも実現するのが面白い」と話す。最後に、「スキージャンプペアを出している中で、自分で技を作りたいとか、ナレーションを入れたいという声も多かった。それがついに実現できる。スキージャンプペア以外にも、どんどんコンテンツを考えていきたい」と意気込みを語った。

 水口氏は、「Second Lifeのコンテンツを開発していると、メディアが誕生する黎明期に立ち会っているようで面白い。3Dインターネットはこれから大きなストリームになっていくのではないか」と語る。「Second Lifeのようなメディアがゲームを吸収していく予感もする。今のオンラインゲームが前哨戦のようにも思える。ただ遊ぶだけでなく、広告も絡めた新しい表現をもっと作っていきたい」とした。


ウェアを着たアバター 東京シャンツェの上でアイテム販売

ジャンプの場面 着地の場面

ランキングの掲示板 足の長さも速さに影響

砲丸投げの場面 マシンスペックによってはクリックのタイミングがシビアになることも

関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.dentsu.co.jp/news/release/2007/pdf/2007056-0830.pdf

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( 野津 誠 )
2007/08/24 12:13

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