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GPL v3の解釈を明文化して情報家電にも利用可能に、IPA事業説明会


IPAの藤原武平太理事長
 情報処理推進機構(IPA)は27日、2007年度上半期の全体事業説明会を開催した。説明会では、IPAのオープンソースソフトウェアセンター(OSSセンター)の取り組みとして、GPL(General Public License)のバージョン3への改定に対する活動などが紹介された。

 GPLは、Linuxを始めとした多くのオープンソースソフトウェアが採用しているライセンスで、配布にあたってはソースコードの提供や改変したソフトにもGPLライセンスを波及させることなどが求められている。GPLを管理するFree Software Foundation(FSF)では、現在のGPLバージョン2(GPL v2)の改定に向けて、GPLバージョン3(GPL v3)のドラフト第1版を2006年1月に公開した。

 GPL v3のドラフト第1版には、「GPL v3に基づいて配布されるプログラムはDRM(著作権保護)機能を備えるシステムでは使われるべきでない」というDRMへの対抗条項や、改変したソフトを元の機器にインストールできるようにしなくてはならないという項目などが盛り込まれていた。

 IPAでは、ハードディスクレコーダーなど多くの情報家電でLinuxなどのGPLソフトが利用されている現状では、GPL v3ドラフト第1版の内容では、DRMを利用する機器でGPLソフトが利用できなくなることや、組み込みソフトの改変により事故が発生する可能性など、産業界に与える影響が大きいと判断。2006年3月にはOSSセンターにリーガルグループを設立し、産業界関係者と意見交換を行ない、2006年11月にはGPLの策定に携わる米コロンビア大学のEben Moglen教授と協議を行なうなどの活動をしてきたとした。

 GPL v3の最終版は2007年6月に発表されたが、DRM対抗条項については削除され、改変したソフトウェアのインストールについては“Installation information”を開示する義務がある、という表現に変更された。この“Installation information”をどこまでの範囲と解釈するかといった問題などはまだ残っているが、Moglen教授はGPL v3ソフトの産業への活用が不可能とならないよう十分配慮した解釈とする考えを示しており、今後はIPAと協力して、コメンタリーとして明文化することでも合意したという。

 OSSセンター長の田代秀一氏は、Moglen教授との話し合いでは、「(GPL v3は)組み込みでまったく使えなくなるような解釈はせず、産業的な利用を完全に排除してしまうということは、フリーソフトウェアにとっても良くないことであると理解している」という回答を得ており、基本的には組み込み機器にもGPL v3ソフトが使える見通しだが、さらにこの点を明文化することで企業が安心してGPL v3ソフトを利用できるようにしていきたとした。


GPL v3ドラフト第1版に盛り込まれた条項 IPAにおけるGPL v3の議論の経緯

関連情報

URL
  IPA オープンソースソフトウェア・センター
  http://www.ipa.go.jp/software/open/ossc/index.html


( 三柳英樹 )
2007/08/27 20:25

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