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インテル、ソフトウェアCAS活用で完全デジタル化移行推進する方針


米Intelコーポレート・テクノロジー統括本部 コンテンツ政策・アーキテクチャー担当ディレクター ジェフリー・ローレンス氏

ソフトウェアCASの有効活用について
 インテルは31日、デジタルコンテンツの著作権保護への取り組みに関する説明会を開催した。米Intelのコンテンツ政策担当者であるジェフリー・ローレンス氏が、2011年のアナログ放送停波にむけて、ソフトウェアCAS(conditional access system)の早期活用によって視聴可能端末を増やす必要性を訴えた。

 コンテンツの著作権保護にかかわる理由としてインテルでは、新しいデジタル機器や市場を創造する、デジタルメディアをホームネットワークに提供する、コンテンツの柔軟性とポータビリティを高めて利用者に選択肢を与える、著作権者のためにリーズナブルかつ公平な保護手段を提供する――ことを挙げている。

 ローレンス氏はコンテンツの著作権保護について、著作者の権利を保護することは重要だが、アナログからデジタルに移行してユーザーに不便をもたらせば、デジタル化は頓挫してしまうと指摘。続けて、地上デジタル放送録画のコピーワンス問題を引き合いに出し、「アナログで可能だったことができなくなるから様々な議論に発展した」と述べた。

 コピーワンス問題をめぐっては、総務省の情報通信審議会の専門委員会が7月12日、コピー回数を1回から10回(10回目はムーブ)まで緩和する方針をまとめた。これについて、原則としてコピーフリーを理想とするローレンス氏は「妥協の産物」と語ったが、方針が固まったことにより、デジタル放送コンテンツの利用促進や市場形成につながると評価した。

 また、「10回コピー」によってもたらされる新たなライフスタイルの理想像として、外出先のPCからインターネット経由でテレビ番組を視聴できる「リモートアクセス」と、放映済みのテレビ番組をインターネット経由で再放送する「IP再送信」という2つの利用形態を提案した。

 リモートアクセスについては、DRMにより保護されたコンテンツを伝送するための技術「DTCP」が既存のデバイスに搭載されていることから、DTCPにリモートアクセス機能を加えれば対応可能で、技術的には容易だという。さらに、リモートアクセス時にパスワードを入力させるとともに、ストリーミングによってコンテンツを配信すれば実現できるとした。

 IP再送信に関してはテレビ局が消極的な姿勢を見せているが、新たな収入源や多くの視聴者を獲得できるなどのメリットを示すことが重要であると指摘。まずはテレビ局側に新たな市場形成につながることを理解してもらった上で、IPを補完的伝送手段とするために法改正を含めたルール作りが必要であると話した。

 最後にローレンス氏は、2011年の完全デジタル化にむけて、ソフトウェアCASの有効活用によって、受信対応機器を増やすことが重要であると強調した。CASとは、放送波にスクランブル信号などを追加することで、特定の視聴者だけが番組を視聴できるようにしたシステム。「すでに開発済みであとは実装を待つのみ」というソフトウェアCASは、既存のハードウェアCASと機能は同じだが、実装するコストは安く、PCをはじめとした多様なデバイスに実装できるという。ローレンス氏は、ソフトウェアCASを導入するための運用基盤整備や、安価な受信対応機器を製造するためのルール見直しの必要性を訴え、2008年をめどに実装を目指したいと語った。


リモートアクセスについて IP再送信について

関連情報

URL
  インテル
  http://www.intel.co.jp/


( 増田 覚 )
2007/08/31 16:55

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