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中国農村部のインターネット普及率は5.1%に止まる~CNNIC調査


 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は9日、中国農村部のインターネット普及状況をまとめた「2007年中国農村互換網調査」を発表した。


経済的な理由から普及率は低く、ネットカフェからの利用が多い

都市部と農村部のインターネット普及率を比較した折れ線グラフ。都市部(グレー)に比べて農村部(赤)は明らかに低い
(C)CNNIC
 2007年6月末時点の中国の農村部のインターネットユーザー数は3,741万人となった。中国の農村部の人口は7億3,700万人いるため、インターネットの普及率は1割にも満たない5.1%となる。なお、都市部のインターネットユーザーは1億2,359万人で普及率は21.6%に上る。都市部と農村部で普及度合に大きな差があるが、それでもレポートによると、2006年末に比べて都市部と農村部の差は縮小傾向にあるという。

 農村部でインターネットが普及しない原因の1つが経済的な問題だ。家庭の平均年収は都市部の11,759元(約18万円)に対し、農村部は3,587元(約55,000円)と、農村部では中国の低価格PCを買うにも半年分の収入が必要となる。そのため、100戸あたりのPC普及率は都市部で47.2台であるのに対して、農村部ではわずか2.7台に止まる。

 PCが家庭に普及していないためか、インターネットを利用する場所としては「家(55.2%)」が最も多い回答となったものの、「ネットカフェ(53.9%)」もそれに迫る結果となった。中国の都市部と農村部をあわせた全体の統計では、家は73.8%、ネットカフェは37.2%となっていることから、農村部では全体平均よりもネットカフェ利用率が高く、家での利用率が低いことがわかる。調査レポートでは、家でのインターネット利用者が少ない理由として、固定電話のインフラが充分でないことも指摘している。

 インターネットを利用していない原因について、農村部では都市部に比べ「設備がない(39.5%)」「PCやインターネットがわからない(28.3%)」「利用費が高い(8.4%)」の回答が高い数値を出す結果となった。ちなみに農村部よりも都市部のほうが多い回答となった同原因では「親や先生が使わせてくれない」「悪い影響が出ないか心配」などがあった。


中国農村部の主な利用者層は学生

 農村部のインターネット利用者を男女別で分けると、都市部は男女比がほぼ1:1であるのに対し、農村部では男性が61.9%を占める結果となった。レポートではこの理由の1つとして、農村部では女性の学歴が男性に比べ明確に低いことが挙げられると分析している。

 学歴別(在学中含む)では「大卒以上(15.2%)」「高校(46.8%)」「中学(30.4%)」「小学ないしそれ以下(7.6%)」となった。都市部では「大卒以上」が最も多いが、これについても経済的理由を背景として、都市部とは大きく異なる結果となった。

 年齢別では、中国の場合は全体でみても中高年の利用者が少ないことがわかっているが、農村部ではそれにさらに拍車がかかり、30歳以下の利用者が全体の8割を超える。

 職業別では「学生(42.9%)」「会社員、公務員(30.6%)」「その他(26.5%)」となり、学生が最も多いことが判明した。都市部では「会社員、公務員」が最も多い。小学校から高校までの学生に絞り、学生別で分類すると「高校生(52.3%)」「中学生(38.1%)」「小学生(9.6%)」という結果になった。

 月収別では「500元以下(約7,800円以下、47.7%)」がほぼ半数を占め、以下「501~1,000元(約7,800~15,500円、17.2%)」「1,001~1,500元(約15,500円~23,000円、13.3%)」となった。

 都市部でも「500元以下(29.6%)」が最多である点は同じだが、その一方で「3,000元以上(約46,000円以上、12.8%)」の高額所得者も少なからずいる。

 農村部のインターネット利用者の週平均利用時間は13.7時間で、都市部の20時間超と比べて短い。インターネット利用者がもっとも集中する時間のピークは夜の19時から22時で、都市部のピークも農村部と同じく夜ではあるが、都市部では農村部より1時間ほど遅い時間がピークとなっている。


出稼ぎ労働者もインターネットを利用している

 中国には「民工(または農民工)」と呼ばれる都市部に出稼ぎに行く農民、いわゆる出稼ぎ労働者が多数存在し、その民工のインターネット利用者は2000万人いる。その7割強は男性だ。

 民工のインターネット利用者は、簡素な家に滞在するため中国全体の利用者の平均よりネットカフェで利用する割合が高く、家での利用する割合が低い。その一方で職を持っているため、中国全体の利用者の平均より月に支払うインターネット利用費は高く、86.6元(約1350円)となっている。利用時間は中国全体の利用者の平均(18.6時間)よりは長いが、会社員全体の平均(22.4時間)よりも短い20.7時間となった。

 民工のインターネット利用者の平均月給は「1,000元以下(約15,500円以下、35.7%)」「1,001~2,000元(約15,500~31,000円、38.3%)」「2,000元以上(約31,000円以上、26.0%)」となった。


インターネットの利用目的は様々

 農村部のインターネット利用者のインターネットの利用目的(複数回答可)は、「インスタントメッセンジャー(69.4%)」「オンラインミュージック(68.9%)」「ニュース閲覧(66.5%)」「情報検索(65.8%)」「オンラインムービー(60.9%)」「オンラインゲーム(47.1%)」「電子メール(43.6%)」などの回答に集中した。

 ニュース閲覧や、情報検索、電子メールでは、都市部のインターネット利用者のそれよりも12~16ポイント低い結果となっている。

 都市部では、ほとんどのインターネット利用者がニュース閲覧や情報検索を利用目的に挙げているのに対して、農村部では利用者によって目的が違うという利用実態が判明した。ちなみにインターネットを利用しない農村部の人々のほとんどが主な情報源を「テレビ(84.7%)」と回答している。これはインターネットを利用しない都市部の人々の回答よりも高い数値となっており、農村部では情報源としてテレビの重要性が高いことがわかる。

 また、オンラインバンキングやオンライントレード、オンラインショッピングなどの大都市で普及している決済機能を持つサービスは、農村部ではほとんど利用されていない実態も明らかになった。


関連情報

URL
  ニュースリリース(中文)
  http://www.cnnic.com.cn/html/Dir/2007/09/07/4769.htm
  ニュースリリース本文(中文、PDF)
  http://www.cnnic.com.cn/uploadfiles/pdf/2007/9/7/150218.pdf


( 山谷剛史 )
2007/09/14 17:24

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