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ニコニコ動画が「RC2」にバージョンアップ、投稿者専用機能など追加

違法動画問題、権利者は削除から活用へと考えをシフト

 ドワンゴとニワンゴは10日、「ニコニコ動画(RC2)」を公開した。同日、都内で報道関係者およびニコニコ動画のプレミアム会員を招待して発表会を開催した。


動画投稿者がコメントをコントロール

ニコニコ動画(RC2)
 「ニコニコ動画(RC2)」では、「投稿者専用コメント」を導入。動画を投稿したユーザーだけに与えられるコメントスペースで、他のコメントが増えても残るほか、表示期間も設定できる。

 また、特殊なコメントを入力することで、動画上でアンケートや投票を行なったり、動画の一部分だけを見せることもできる。これらは、新開発の「NICOScript(ニコスクリプト)」によって実現した。なお、投稿者専用コメントの付いた動画は、投稿者本人とプレミア会員のみ視聴できる。

 加えて、動画投稿者は、コメントの削除や置き換えが行なえるようになった。置き換えでは、任意のワードが投稿された際に、そのワードを自動的に違うワードに変更して表示可能。また、「NGワード」で動画の視聴中に該当するコメントを非表示にしたり、「NG ID」で特定のユーザーのコメントを非表示にすることも可能だ。

 このほか、動画表示ウィンドウの上部に「ニコニコニュース」を設置した。時報や緊急ニュースなどを表示するもので、広告バナーとしては使用されない。さらに、ニコニコ動画を視聴している全ユーザーにリアルタイムで配信される「ニコニコ割り込み(ニコ割)」を導入。ニコ割が入ると、動画やコメントが停止し、ニコニコニュース枠に情報が流れる。

 音楽やエンターテイメント、アニメといった各カテゴリのトップページも新たに用意した。動画のジャンルを分ける「カテゴリタグ」は、これまでは最新の書き込みがあった動画を表示させていたが、動画ランキングや「ニコニコ市場」のランキング、新着投稿動画もカテゴリタグごとに表示されるようになった。また、「マイリスト」のインターフェイスも変更した。


投稿者専用コメント 投稿者用機能の数々 カテゴリトップページ

ニコニコ動画で第2の人生“ニコンドライフ構想”

ニワンゴの西村博之取締役
 ニワンゴの西村博之取締役は、ニコニコ動画について、「新しい生活の場を作るように意識している」と話す。ニコニコ動画でユーザー同士がコミュニケーションを図ることにより、ネット上で第2の人生を送る“ニコンドライフ構想”を打ち立てた。

 また、「最初はYouTubeの動画を使っていたので、ある意味、YouTubeはニコニコ動画の育ての親のように感じている。対抗しようとは思っていない」とした上で、ニコニコ動画の姿勢について、「利益だけではなく、サービスの楽しさや意味も重要視したい」と語る。

 RC2のリリースにあたっては、「これまでは、YouTubeからのアクセスを切られて『SMILEVIDEO』を作ったり、ユーザーが増えて厳しくなったので有料化するなど、後ろ向きなバージョンアップだったが、今回は面白いものを作るために強化した前向きなバージョンアップ」とした。

 このほか、ニコニコ動画に集まったクリエイターに活躍の場を提供する企画として「国際ニコニコ映画祭」を発表。審査委員長は手塚眞氏が務めるほか、審査委員に有名なニコニコ動画ユーザーや、ゲスト審査員にニコニコ動画と接点のない著名人なども迎えるという。年間グランプリも考えており、優勝者には特典なども検討。審査の様子はネットで公開する。

 加えて、ニコニコ動画の海外進出も明らかにした。第1弾として、台湾版を10月18日に開始する予定。台湾からのコメントは、日本からのコメントと別のスレッドに表示される。なお、世界進出を台湾から始める理由について西村氏は、「日本からのアクセスだけでも手一杯な状況で、英語に対応するのは厳しいから」と説明した。

 RC2の次回の機能強化としては、「ニコニコ動画(RC2)サービスパック1」を12月にリリース。ニコスクリプトの強化や、動画編集ソフトの提供などを行なう。今後は、「ニコニコシリーズ」として事業展開していく方針を示し、「既存のネットサービスと同じことはしない。ただし、ニコニコ市場のようにエンターテイメント要素を盛り込み、サービス提供の在り方を変えたものはあると思う」と述べた。


ニコンドライフ構想 コンセプトと強化点の関係 審査委員長はこれまで引き受けなかったという手塚氏。「掟破りなニコニコ動画にポジティブな可能性を感じる」

海外からのアクセス数 次回の機能強化点 ニコニコ動画シリーズの展開

違法動画対策は権利者との話し合いを強化

ニワンゴの杉本誠司代表取締役副社長
 ニワンゴの杉本誠司代表取締役副社長は、これまでのニコニコ動画の歴史を紹介した上で、現状を説明。10月9日現在の登録会員数は342万人で、そのうち有料会員数は10万3,000人。1日のPV数は約5,500万PVで、ユニークユーザーは120万人。モバイル版では20万PVとなり、利用者は1日1万人規模で増えているという。

 動画に関連した商品を掲載できるサービス「ニコニコ市場」の利用数も好調であると説明。開始当初はプレミアム会員だけが使える機能だったが、無料会員へも開放して以降、さらに商品掲載数は伸び、9月中旬で約60万点になるとした。広告モデルも7月に開始しており、売上は1,800万円規模に成長。今後は、ニコニコ動画ならではの広告モデルも検討していくという。

 違法動画への対応としては、現状、24時間の有人監視を行なっているほか、権利者からの削除申請を受けての迅速な対応や、削除申請と同時に動画の閲覧停止を実行できるシステムを登録制で提供している。現在、14社が登録しているという。“荒らし”“晒し”などに関しては、「コメント削除依頼板」を用意。今後も監視・削除体制の強化を図る上、権利問題に関する啓蒙活動を行なうとした。

 また杉本氏は、「権利者に個別の作品を指定・リストアップしてもらい、それに該当するものを削除していく。管理ツールや検知システムの強化も図る」と説明。「まだまだ著作権の理解度が浅いと思う。何が良くて、何ががいけないのかという基本的なところがわかるように、サービスの中に盛り込んでいきたい。権利者との話し合いを強化し、現状を含めた今後の対策について検討する」と述べた。

 一方、「コンテンツホルダーもニコニコ動画に注目しており、いかに活用していくかを考え始めている。権利問題からテーマが変わってきている」という。今後は、提携コンテンツホルダーとの共同ブランドメディアを確立し、広告商品を展開したり、ニコニコ市場を活用したEC展開、独自の有料視聴サービスといったサブライセンスビジネスの検討と発掘を考える。加えて、コンテンツホルダー公式の動画も配信。吉本興業やエイベックスなどのパートナー企業を発表した。

 西村氏は、「ニコニコ動画では、権利者は投稿者であるというのが前提。その中に、他人の権利物があれば削除するスタンス」と説明。また、個人的な意見として、「著作権の話はわかり辛い。文句があれば対応していくようにして、(判断)ラインはわからないが困っている人はいないサービスを目指す。ユーザーがニコニコしていて、運営会社もニコニコしている。その上で権利者もニコニコにしていれば良いのではないか」と述べた。


ニコニコ動画の歴史 登録会員数 平均利用状況

ニコニコモバイル ニコニコ市場の状況 広告モデルの状況

コンテンツホルダーとの取り組み 現段階で明らかにされたパートナー企業 ドワンゴの小林宏代表取締役社長「来期中にはニコニコ動画で黒字を目指す」

関連情報

URL
  ニコニコ動画(RC2)
  http://www.nicovideo.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://info.niwango.jp/pdf/press/2007/20071010.pdf

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( 野津 誠 )
2007/10/10 22:07

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