Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

YouTube、著作権侵害コンテンツ発見のための「Video ID」テストを開始


 米YouTubeは15日、著作権者の意向に反するコンテンツを発見するための新しいツール「YouTube Video Identification(YouTube Video ID)」のベータテストを開始したと発表した。

 これまで、YouTubeでは著作権者の意向に反するコンテンツを発見するために、動画の中で再生される音声情報に基づいてコンテンツを識別する技術をサードパーティからライセンスし、それをもとに著作権者と共同で作業に当たっていた。

 今回、YouTubeがGoogleと共同開発したYouTube Video IDは、動画をいくつかの要素をもとに識別できるとしている。これまでの音声だけによる識別から、動画そのものを識別するに至ったことは、著作権者にとっては1歩前進と言えるだろう。YouTubeでは、これまでコンテンツ企業と共同でこの新技術に関するテストを行なってきた結果、かなり有望な技術であるとしている。

 YouTubeでは、この技術をスケールアップしてYouTube全体で利用できるようにすると同時に、システム自体の改良を継続する考えだ。YouTube Video IDの利用を希望するコンテンツ企業は、ベータテストの参加希望を申し込むことができる。

 YouTubeでは著作権者の意向に反するコンテンツを禁止するために、何度も著作権侵害を繰り返すアカウントを停止したり、毎回動画の「ハッシュ」を照合することで著作権侵害が判明した同じビデオの投稿を禁止するなど、複数の処置を既に講じている。

 しかしその一方で、迅速なコミュニケーションを促進するためという理由から、著作権侵害コンテンツを公開前に防止する処置は取っていない。あくまで公開されたコンテンツが違法であることが判明してから取り下げることに限定されている。YouTube Video IDの説明でも、著作権者の協力なしに著作権侵害を認定することはできないことや、著作権者によってはプロモーションのためにコンテンツを自ら投稿したり、投稿されたコンテンツをもとに利益を上げることを望む著作権者がいると説明している。

 この問題について著作権者側では、YouTubeに対して1億ドルの損害賠償請求を行なっている米メディア最大手のViacomは、あくまで著作権を侵害しているコンテンツをYouTubeで公開する前に事前に取り下げるよう強く求めるなど、違法コンテンツのチェックを公開前に行なうのか公開後かという点をめぐって、YouTubeとの議論は平行線をたどっている状況だ。


関連情報

URL
  YouTube Video Identification(英文)
  http://www.youtube.com/t/video_id_about
  Google公式ブログの該当エントリー(英文)
  http://googleblog.blogspot.com/2007/10/latest-content-id-tool-for-youtube.html


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/10/16 11:52

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.