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AppleがDRMフリー全楽曲を値下げ、Amazon.comとの競争が激化


 米Appleは17日、同社がiTunesで提供しているDRMフリー楽曲ストア「iTunes Plus」で提供している全楽曲の価格を、これまでの1.29ドルから99セントへと値下げし、さらにDRMフリー楽曲数も200万曲以上に増やしたことを正式に発表した。なお、日本向けのiTunes Storeでも、これまでの1曲200~270円から、150~200円に値下げされている。

 DRMフリー楽曲のダウンロード販売サイトとしては、米Amazon.comが9月25日に「Amazon MP3」のベータ版を公開しているが、価格帯は89セントから99セントで、Appleよりも安いことが話題となっていた。また、楽曲数も200万曲をそろえ、DRMフリー楽曲数では「世界一」であると宣伝していた。

 Appleは今回、全楽曲の値下げもさることながら、DRMフリー楽曲数も大幅に増やした。これまで提供していた英EMIの楽曲だけでなく、Sub Pop、Nettwerk、Beggers Group、IODA、The Orchardなどのアーティストによる楽曲など、数多くのインディーズレーベルによるDRMフリー楽曲を加え、合計200万曲を超えた。そのため、現在「世界最大のDRMフリーカタログ」を提供しているとしている。

 正確な楽曲数は公開されていないため不明であるが、両社とも200万曲を超える楽曲を集めているようだ。Amazon.comが世界最大のDRMフリーカタログを宣伝してから1カ月経たないうちに、その称号をAppleに奪われたことになる。

 それでもAmazon.comは手をこまねいているわけではない。Appleは17日の正式発表前にひそかにiTunes Plusで99セントへの値下げを開始しており、一部のユーザーの間で話題が広がり始めていた。それとほぼ同時期の15日にAmazon.comは、Amazonアソシエイツプログラムを通して、Amazon MP3に関する料率を20%へと大幅アップしたことを発表した。

 この取り決めでは、2007年12月31日までの間、Amazonアソシエイツ利用者は、リンクを張ることによって購入行動が行なわれた場合、楽曲価格の20%を得ることができる。これは一時的な措置であり、2008年1月1日からは元の10%に戻される予定だ。しかしこの料率が適用されるアイテム数に制限がないことが強調されている。

 AppleもiTunesを通してアフィリエイトサービスを提供しているが、こちらの料率は5%にすぎない。アフィリエイトプログラムに関しては、Amazon.comに一日の長があり、人気アフィリエイトサービスであることから、Amazon.comはAppleに対抗して大きなシェアを獲得することを目指していると考えられる。それだけでなく、Amazon.comは既に人気楽曲に関してAppleを下回る89セントから提供しており、利益を薄くしてでもシェアを取りに行く戦略を採用していることがわかる。

 AppleとAmazon.comがDRMフリー楽曲に関して楽曲数を大幅に増やし、激烈な価格競争に突入したことによって、ユーザーは高品質のDRMフリー楽曲を容易に入手できるようになってきた。現在DRMフリー楽曲を提供していないメジャーなレコードレーベルはまだ複数存在しているが、この流れが今後どの程度にまで発展するのかが注目されるところだ。


関連情報

URL
  Appleのニュースリリース(英文)
  http://www.apple.com/pr/library/2007/10/17itunes.html
  Amazon Associate公式ブログの該当記事(英文)
  http://affiliate-blog.amazon.com/2007/10/amazon-mp3-down.html

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/10/19 13:19

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