著作権が消滅した作品をインターネット上で公開している「青空文庫」は、公開中の作品一式を収めたDVD-ROM付き冊子「青空文庫 全」を全国約8,000の図書館に寄贈する。約3,000の公共図書館、大学、短大、高専付属図書館には10月末、約5,000の高校図書館には11月20日頃配送する。
DVD-ROMには、夏目漱石や芥川龍之介、太宰治など、10月1日時点に青空文庫で公開されていた407人の著作権切れ作品約6,500点を収録。同梱する冊子では、DVD-ROMの使い方に加えて、青空文庫の成り立ちや著作権保護期間の延長に反対する青空文庫の考え方などを説明している。寄贈に要する費用約300万円は、青空文庫の広告収入でまかなう。
今回の寄贈計画について青空文庫は、「青空文庫を利用するにはインターネット接続環境が必要だが、全国の図書館でDVDを貸し出すことで、青空文庫の利用者拡大が見込める」と説明。こうしたことから、寄贈した冊子はDVDを含めて複製を許可している。「必要ならば、図書館でDVDを焼いて増やしてもらってもいい」(青空文庫)。
なお、青空文庫は、著作権保護期間延長に反対する署名活動を行なっているが、今回の寄贈は反対活動の一環でもある。現在、文化審議会では保護期間を著作者の死後50年から70年に延長することが議論されているが、青空文庫では「著作権保護期間が延長されれば、デジタルアーカイブを用いて自由に公開できる作品はより古いものに限られ、インターネット社会の可能性の一つがしぼんでしまう」と反論。今回の寄贈を通じて、より多くの人に青空文庫が公開するファイルを利用してもらうことで、著作権に対する考え方を変えてもらう狙いもあるようだ。
関連情報
■URL
『青空文庫 全』寄贈計画のお知らせ
http://www.aozora.gr.jp/kizokeikaku/
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( 増田 覚 )
2007/10/26 19:56
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