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Googleが携帯電話向けプラットフォーム「Android」を発表

NTTドコモやKDDIもアライアンスに参加

 米Googleは5日、携帯電話を含む携帯デバイス向けのオープンプラットフォーム「Android」を発表した。Googleが携帯電話市場に興味を抱いていることは明白だったが、これで同社が本格的に携帯電話市場に参入することを正式に表明したかたちになる。

 5日の発表時点で、Androidはまた商品化されていない。開発者向けアーリーアクセス版が11月12日にSDKとして公開されることになっているだけだ。発表によると、Androidは携帯電話を動作させるのに必要なOS、ミドルウェア、ユーザーフレンドリーなインターフェイスとアプリケーションを取り揃えてまとめたソフトウェアスタックとして提供される。Androidを搭載した携帯電話は、最も早くて2008年の後半に発売される予定だ。


アライアンスにはNTTドコモやKDDIも参加

「Open Handset Alliance」のWebサイト
 今回、Androidを核とするオープンなプラットフォームを開発・推進していくための企業連合「Open Handset Alliance」が結成され、その初期メンバーも発表された。

 日本の携帯電話キャリアからはNTTドコモとKDDIが参加しており、海外からはChina Mobile、Sprint Nextel、Telecom Italia、Telefonica、T-Mobileが参加。メーカーからはAplix、Intel、Motorola、Nvidia、Qualcomm、Samsung、LG、Texas Instrumentsなどが参加。そのほかに将来を予感させる興味深い参加企業としては、インターネット電話のSkypeを傘下に持ち、自身も巨大オークションサイトを運営する米eBay、音声認識ソフトウェア大手のNuance、GPSを含むロケーション技術やサービスを展開するSiRFなどが参加している。

 しかしその一方で、携帯電話端末最大手で携帯電話OS「Symbian」にも出資しているNokiaや、端末大手のSony Ericsson、米大手キャリアのVerizonやAT&T、欧州キャリア大手のVodafoneやOrangeなどは今のところこの企業連合に参加していない。

 Androidは、Apache v2ライセンスのもとで無料でオープンソースとして配布される。このライセンスが採用されたのは、Android採用企業が開発したソフトウェアをOpen Handset Allianceに提供する必要がなく、商業化しやすいライセンスだからだ。このため企業は独自の機能をAndroidに付け加えて出荷することができるほか、採用企業が自由に機能を除去することもでき、それによって他企業との差別化を図ることができる。AndroidはGoogleが開発しているが、Gmailの代わりにHotmailを使用するように設定したり、Androidを採用した上に完全にクローズドなプラットフォームをキャリアが提供することさえ可能だとしている。これがAndroidが「オープン」だとする理由だ。


憶測されていた「Google Phone」よりも「はるかに野心的」

 Googleが携帯電話プラットフォームを開発した理由として、発表文では、携帯電話の利用者が現在、世界中に30億人近くおり、携帯電話が最もパーソナルでユビキタスな通信デバイスとなったことを挙げている。それにもかかわらず企業間の協力がなかったために、携帯電話ユーザーのニーズに開発メーカーやキャリアが迅速に応じることが難しくなっていたと指摘。Androidを通して、より革新的な製品をより低価格で提供できるようにするとしている。

 そしてこれまで多くのテクノロジーブログやアナリストたちがGoogleによる携帯電話「Google Phone」が市場に出ることを予測していたことについて、Googleの会長兼CEOであるEric Schmidt氏は「今日の発表は、これまで報道機関が過去数週間にわたって臆測していた単なる1台のGoogle Phoneよりはるかに野心的だ。我々のビジョンは、今日ベールを脱いだこの強力なプラットフォームが、何千もの異なるモデルの携帯電話を動かすことになるということだ」とコメントしている。

 しかしこの大規模な携帯電話向けプラットフォームを中心に、Googleがどのようなビジネスモデルを描いているのかは必ずしも明解ではない。このプロジェクトを推進したGoogleモバイルプラットフォームディレクターであるAndy Rubin氏は、Google公式ブログにおいて「我々はユーザーがどこにいようと情報を提供するというGoogleの目標を進める上で、Androidが戦略の重要な部分を担うと見ている」とコメントしている。また、GoogleはGmailやGoogle Maps、Google Newsなど、様々なサービスを携帯電話向けに提供し始めている。これらのことがGoogleに利益をもたらすどのような戦略と結び付いているのかが今後注目されていくことだろう。

 Googleは2007年、Google自身の名において携帯電話のハードウェアに関連する特許を取得している。この特許は2003年に出願されており、同社はその頃に携帯電話に通じたエンジニアを数人採用したとされている。また、Rubin氏はPDAとメールなどを組み合わせた携帯コミュニケーションデバイス「Danger」を開発していたDangerの共同創業者で、テレビインターネット機器「WebTV」の共同創業者でもある。また、過去にはAppleや革新的なユーザーインターフェイスで知られたGeneral Magicに在籍したこともある。その後、携帯電話に関連する技術を開発するAndroidを設立、2005年に同社がGoogleに買収されていた。当時、Googleはこの買収について「優秀な人材を雇用するため」と説明していたが、結果的に見ると、Googleには2002年頃から携帯電話に興味を持つエンジニアが複数おり、携帯電話のハードウェアの研究にもリソースを割いていたと推測される。


関連情報

URL
  Open Handset Alliance(英文)
  http://www.openhandsetalliance.com/
  ニュースリリース(英文)
  http://www.google.com/intl/en/press/pressrel/20071105_mobile_open.html
  米Google公式ブログの該当記事(英文)
  http://googleblog.blogspot.com/2007/11/wheres-my-gphone.html

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米Google、携帯電話の通信方式に関する特許を取得(2006/01/05)


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/11/06 11:55

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