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米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO
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マイクロソフトは8日、これまでベータ版として提供してきた「Windows Live」サービスを、日本でも正式版に移行したと発表した。米国時間6日には、米MicrosoftがWindows Liveサービスの正式版への移行を発表しており、今回の日本法人の発表はこれに続くものとなる。
正式提供が開始されたのは、写真や動画の編集・整理を行なう「Windows Liveフォトギャラリー」、メッセンジャーソフトの最新版となる「Windows Live Messenger 2008」、メールソフト「Windows Liveメール」、ブログエディター「Windows Live Writer」、イベントの企画や開催などをサポートする「Windows Liveイベント」、Windows Live Messengerのメンバーリストに追加できるロボット「Windows Live Agent」、フィルタリングソフト「Windows Live OneCare ファミリーセーフティ」。さらに、Windows Liveの各サービスを一括でインストールできる「Windows Liveおすすめパック」も正式版が公開された。
また、Windows Live IDについては、従来の「hotmail.co.jp」ドメインに加え、「live.jp」ドメインによるWindows Live IDの新規取得が可能となった。
● Windows Liveはコミュニケーションに変革をもたらす
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8日、来日したバルマーCEOの記者会見が行なわれた
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Windows Liveのサービス群
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8日に行なわれた記者会見では、来日した米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが登場。「日本市場は非常にわくわくできる時期を迎えている。今後数年間で、日本のインフラは家庭だけでなくモバイルデバイスに至るまでブロードバンド環境となる。さらに、テレビもアナログからデジタルへの移行が完了する」として、日本市場が迎える変化に期待しているとコメントした。
そうした変化を受け、「今後10年間ですべてのメディア、印刷、新聞、テレビなどがIPネットワークを通じて配信されるようになり、広告市場も大きく成長するだろう」と予測。また、「インターネットはニュースのためだけのメディアではなく、コミュニティの場となる」として、マイクロソフトが取り組む「ソフトウェア+サービス」がコミュニケーションにも変革をもたらすとした。
バルマー氏はこうした新たなコミュニケーションのイメージを、「私がゴルフの試合をテレビで見ていて、タイガー・ウッズが素晴らしいパットを決めたのを見て叫びます。『おいビル! 今のパットを見たか!』。するとテレビが私の音声を認識し、ビルというのはビル・ゲイツのことだと理解し、世界のどこかにいるビル・ゲイツにメッセージを届けます。メッセージを受け取ったビルは、そこに書かれているリンクから動画にアクセスでき、私が見て興奮したパッティングの映像を見ることができます」と例を挙げて紹介。デバイスや場所にとらわれず、コミュニケーションが可能になるというビジョンを語った。
マイクロソフトにとってのWindows Liveは、OS面では「Windowsとサービスを統合するものであり、Windowsが無くなるということはなく、むしろWindowsを強化するもの」と説明。Windows Liveが今後の「ソフトウェア+サービス」の方向性を示すものだとした。
質疑応答では、Windows Liveはユーザーには無料で提供する広告モデルの事業となるが、経営面ではどのような状況にあるかという質問に対し、「オンラインサービス事業は昨年は損失を出しているが、まだ投資の段階だと考えている。今年は20億ドル以上の広告収入を得られると見込んでいるが、継続して投資を行なっていくことでチャンスを得たいと考えている」と回答。また、無料のサービスモデルをどこまで拡張するかについては、「1つのモデルに集約するということではなく、デバイス、OS、ソフトウェア、サービスといったそれぞれについて、ソフトウェア+サービスという観点から最適なモデルを選択していく」とした。
● NTT Comとの提携により、Live Messengerから電話網へ接続
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Windows Liveのパートナー企業
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NTT Comとの提携によりメッセンジャーから電話網に接続できる「Windows Live Call」を提供
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NTT東日本の古賀哲夫副社長
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マイクロソフト日本法人のダレン・ヒューストン社長は、マイクロソフトが日本向けに進めている取り組み「PLAN-J」では、新しいデジタルワークスタイルとデジタルライフスタイルを日本に広めようとしているが、今回のWindows Liveサービスはデジタルライフスタイルを強化するものだと説明した。
ヒューストン氏はマイクロソフトが目指す新しいデジタルワークスタイルについて、「日本市場はこの点では非常に進んでおり、様々なデジタル機器が日常生活で頻繁に使われている。我々としては、そういった利用形態をさらに進めて、新しいレベルに高めたいと考えている」と説明。Windows Liveはそのためのプラットフォームとなるものであり、PCやテレビ、携帯電話といったデバイスの違いを意識せずにサービスを利用できるようにすることで、日本のパートナーとともにWindows Liveのプラットフォーム上で様々なサービスを展開していきたいと語った。
マイクロソフトのオンラインサービス事業部長を務める笹本裕氏は、Windows Liveのサービス提供にはパートナー企業の協力が欠かせないとして、パートナー企業との連携を紹介。NECとの連携では、NECが今後発売する春モデルのPCにWindows Live Messengerが搭載されることが明らかにされた。また、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とはWindows Live MessengerのVoIP機能で提携し、電話網に接続可能となる「Windows Live Call」を提供することが発表された。
パートナー企業からは、NTT東日本の古賀哲夫副社長が登壇。古賀氏は日本のブロードバンド環境について、「FTTHの普及が世界的に見ても際立っており、加入件数はNTT東日本だけでも800万件、全体ではおそらく1,100万件に達している」と説明。「こうした高速回線のメリットが実感できるサービスはの1つは動画だが、もう1つはOSそのものがネット上に乗り、それを家庭から利用できるような環境だと思う」と述べ、マイクロソフトへの注文として、「OSが新しくなるたびにそれをパッケージで売るという物売りの発想ではなく、OSも月額料金で利用できて、バージョンが上がればそのまま最新版が利用できるといった、本当のソフト売りの発想を望みたい」とコメントした。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3259
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( 三柳英樹 )
2007/11/08 15:58
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