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「スピア型攻撃」「ボット」聞いたことない人が6割、IPA調査


情報セキュリティに関する事象の認知度
 情報処理推進機構(IPA)は4日、情報セキュリティに関する意識調査の報告書を公表した。調査は2007年7月に行なったもので、前回(2007年3月)の調査に比べて、「フィッシング詐欺」「ワンクリック不正請求」を聞いたことがあるという人が増加し、「標的型(スピア型)攻撃」や「ボット」は4割に満たなかった。

 調査は、2007年7月6日から9日まで、マクロミルのリサーチモニターから15歳以上のPCインターネット利用者を対象として、Webアンケートを実施した。有効回答数は5,160人。

 情報セキュリティに関する単語で最も認知度が高かったのは「コンピュータウイルス」で、99.1%が言葉を聞いたことがあり、90.4%は内容も知っていると回答した。「フィッシング詐欺」「スパムメール」「スパイウェア」については、聞いたことがある人は9割前後、内容を知っている人は6割以上に達した。「セキュリティホール(脆弱性)」は82.8%が聞いたことがあると回答、内容を知っている人も52.3%と半数を超えた。

 その一方、「標的型(スピア型)攻撃」「ボット」については「聞いたことがない」という回答が6割に上り、内容を知っているという人はボットが16.1%、標的型(スピア型)攻撃が12.8%にとどまった。また、「セキュリティ対策ソフトの押し売り行為」についても、「聞いたことがない」が45.9%と半数近くで、内容を知っている人も26.4%で3割に満たなかった。

 前回調査との比較で、「聞いたことがある」という割合が向上した単語では、コンピュータウイルスが97.8%から99.1%、フィッシング詐欺が87.9%から91.3%、ワンクリック不正請求が89.3%から92.2%、セキュリティホールが79.4%から82.8%、ボットが35.5%から39.4%、セキュリティ対策ソフトの押し売り行為が50.5%から54.1%、スパムメールが86.5%から88.6%に向上している。


基本的な対策は浸透するも「喉元過ぎれば熱さを忘れる」対策ではダメ

IPAセキュリティセンターの山田安秀センター長
 情報セキュリティ対策の実施状況では、「怪しいメール・添付ファイルの削除」や「よく知らないWebサイトではファイル(ソフトウェア)をダウンロードしない」「セキュリティ対策ソフトの導入・活用」を実施している人が7割以上。IPAセキュリティセンターの山田安秀センター長は、「基本的な対策は浸透しつつある」と評価している。

 これに対して、セキュリティ対策で実施されていないと答えた人が多かったのは「パソコンの重要なデータのバックアップ」「不要になった自宅パソコンの廃棄・リサイクル前のデータ消去」「パスワードの定期的な変更」といった項目。実施率は、データの保存・消去に関する項目ではともに4割程度、パスワードの定期的な変更では25.1%にとどまった。実施率が低い項目について山田氏は、「『喉元過ぎれば熱さを忘れる』という言葉があるが、『水際対策過ぎれば脅威を忘れる』ということになっているのでは」と語った。

 情報セキュリティに関する被害状況については、「全く知らない差出人から大量にメールが送られてきた」経験がある人が24.5%で最も多く、次いで「コンピュータウイルスに感染した(感染後にセキュリティ対策ソフトが検出したケースを含む」が17.3%で続いた。

 また、ワンクリック不正請求に関連し、「HP閲覧中に、契約した覚えのない料金の支払いを要求するメッセージが表示された」という人は8.7%、「覚えのない料金の支払いを要求するメールが送られてきた」という人は6.3%。これらの経験をした641人のうち、実際に支払いを行なったことがある人は3.8%存在し、金銭的被害が発生している状況も確認された。

 このほか、情報セキュリティに対する意識では、「非常に重要である」と答えた人が53.8%で最も多く、「まあ重要である」が40.7%で続いた。前回調査では設問形式が同一ではないため単純比較はできないとしているが、「非常に重要である」(前回は42.9%)の回答比率が高まったという。また、年代別では10代で「非常に重要である」が38.0%と最も少なく、「全く重要でない」が1.4%と他の年代よりも高かったことから、情報セキュリティに対する意識は他の世代よりもやや低い傾向にあるとしている。


情報セキュリティ対策の実施状況 情報セキュリティに関する被害状況

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.ipa.go.jp/security/fy19/reports/ishiki01/

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セキュリティ意識は向上したが実際の対策は不十分、IPA調査(2007/07/10)


( 増田 覚 )
2007/12/04 18:49

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