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富士通、台湾非政府系組織IIIとWiMAXに関する合弁会社を台湾に設立


左からIIIの陳銘憲執行長、台湾行政院の林逢慶政務委員、富士通の秋草直之代表取締役会長、小野俊彦代表取締役副社長
 富士通は4日、台湾政府と台湾企業が出資する非政府系組織「Institute for Information Industry」(III)と共同でWiMAXの各種アプリケーションプラットフォーム開発と技術サポートを行なう合弁会社を2008年3月に台湾に設立すると発表した。

 新会社の名称は「台湾ソリューションAEセンター」(仮称)で、資本金は約500万ドル、出資比率は富士通が51%、IIIおよび台湾企業が49%。所在地は台湾の台北市を予定し、役員を富士通およびIIIから派遣する。

 この合弁会社では、富士通のWiMAX SoC(System on Chip)ソリューションとIIIのソフトウェア技術に基づき、WiMAXに必要となる各種アプリケーションプラットフォームを開発、台湾のODMベンダーに提供する。さらに現地での技術サポートも行なうことで、ODMベンダーは魅力的かつ競争力のあるWiMAX機器を短期間で量産できるという。

 また、世界的なブランドメーカーの多くが台湾のODMベンダーを製造パートナーとしているため、新会社のアプリケーションプラットフォームと技術サポートにより、WiMAX産業の世界的な急成長が望めるとしている。

 新会社では当初モバイルWiMAXの端末と超小型基地局をターゲットとし、これらのアプリケーションプラットフォームを台湾のODMベンダーに提供。製品の市場投入にかかる時間を短縮し、WiMAX製品を世界中へ早期に提供できるとしている。


台湾のベンダーを支援することで世界へのWiMAX普及を促進

富士通の藤井滋経営執行役常務 電子デバイスビジネスグループ長
 4日には合弁会社設立の調印式と説明会が開催。調印式には富士通の秋草直之代表取締役会長、小野俊彦代表取締役副社長、台湾行政院の林逢慶政務委員、IIIの陳銘憲執行長が出席し、合弁会社に関するサインを交わした。

 説明会では富士通の藤井滋経営執行役常務 電子デバイスビジネスグループ長とIIIの陳氏が富士通のWiMAXに対する取り組みについて説明。藤井氏は2011年における世界でのブロードバンド加入者予測は6億6,500万人で、その約1割にあたる8,500万人がWiMAXを利用するというデータを紹介し、「世界中でワイヤレスブロードバンドがWiMAXを通じて広がる」とした。

 自社調査によるモバイルWiMAX端末の市場予測も公開し、2010年にはPC、モバイル機器含めて5,000万台の市場規模になると説明。WiMAX Forum設立時からのボードメンバーであるというWiMAXに対する取り組みを示した上で、「富士通もこの市場で一定のシェアを確保したい」との意欲を見せた。

 台湾では現在台湾経済部を中心にWiMAXを活用した広帯域無線通信環境整備が推進中であり、2007年7月には北部、南部で6社が30MHzずつの周波数ライセンスを取得。2008年末のサービス開始に向けて、取得事業者は現在トライアルを実施中であり、WiMAXに対する台湾の積極的な取り組みをアピールした。

 また、日本を含めた世界各国のメーカーが台湾のODMベンダーにWiMAX端末装置の開発と量産を依存しているという状況にも触れ、「ベンダーをサポートすることで、ベンダーに依存しているメーカーを支援していく」とコメント。台湾への技術貢献や技術支援、サポートを通じてWiMAXno普及に貢献していくとした。

 陳氏は台湾におけるWiMAXの取り組みを説明。台湾では国内のブロードバンド化を推進する政府プロジェクト「M-Taiwan」を展開しており、現在はブロードバンドインフラの構築に続く第2段階としてモバイル化を推進。その中でWiMAXは重要な位置を占めており、事業者はチップセットベンダー、製品メーカーなどと共同でM-Taiwanプロジェクトを推進していくとした。

 合弁の理由についてIIIの陳氏は、「IIIは富士通と長い付き合いがあり、WiMAX技術でも多くの経験を持っている」と説明。また、富士通の藤井氏は「WiMAXのLSIは富士通が開発するが、WiMAXを利用するにはソフトウェアの強化が必要。この合弁事業によってそうしたソフトウェアの強化をサポートしていきたい」とし、「台湾はM-Taiwanによって世界で一番早くWiMAXの環境が動いている。その台湾の中で活動するのが一番正しい方向だと考えている」と語った。


WiMAXの市場規模予測 モバイルWiMAXの端末市場予測

合弁会社に関する基本合意 台湾の状況

台湾が国を挙げて推進する「M-Taiwan」プロジェクト WiMAXがM-Taiwanの重要な役割を担う

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/12/4-1.html

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( 甲斐祐樹 )
2007/12/04 20:50

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