トレンドマイクロは6日、11月度のウイルス感染被害レポートを発表した。それによれば、ユーザーが利用しているOS環境にあわせた不正プログラムを配布するサイトが確認されたとして、今後は「マルチOS対応の不正サイト」に警戒が必要だとしている。
ウイルス感染被害の報告数は3,535件で、先月(4,950件)から約3割減少し、2007年では最少の報告数だった。ただし、ウイルスの発生や感染は、沈静化の後に活発化する傾向もあり、クリスマスなどのイベントが立て混む年末に向けて、ウイルス感染被害が増える可能性もあるとしている。
また、20件の感染被害報告が寄せられた「HTML_IFRAME」は、近年の「Webからの脅威」の代表例の一つであると指摘。この不正プログラムは、Webページにインラインフレームを設定するHTML言語のタグであり、悪意あるユーザーはこれを使用してWebページのリダイレクト先を自由に設定できる。これにより、ユーザーは気づかないうちに不正サイトに誘導され、情報漏洩機能などを持つ不正プログラムに感染する。
トレンドマイクロによれば、これまで「HTML_IFRAME」は、悪意あるユーザーが用意した不正サイトなどで使われていたが、最近ではハッキングを受けた正規サイトが改竄され、「HTML_IFRAME」が仕込まれるケースが世界的に増えているという。「HTML_IFRAME」の報告数の増加は、日本がこのようなWeb経由攻撃の対象に入っていることを示しているとした。
また、アップルのMac OS Xを狙った不正プログラムとしてこれまで確認されてきたものは、攻撃可能性を実証する目的のコンセプトウイルスばかりだったが、今月では小規模ながら実害を及ぼす目的で作成された「OSX_DNSCHAN.A」が確認されたという。この不正プログラムは、複数のアダルトサイトで「Mac環境で動画再生に必要なコーデック」と偽って配布している。
特筆すべき点としては、これらのアダルトサイトが、Windows OSからアクセスした場合にはWindows向けの不正プログラム「TROJ_ZLOB」がダウンロードされるなど、「マルチOS対応の不正サイトになっていた」(トレンドマイクロ)ことだ。今後は、シェアの大きいWindowsだけでなく、MacやLinuxなど複数の環境を想定した攻撃も増えてくるとして、注意を促した。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://jp.trendmicro.com/jp/threat/security_news/monthlyreport/article/20071205092701.html
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( 増田 覚 )
2007/12/06 15:01
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