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「POP2*0ナイト」の模様
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9日に開催された電子音楽のトークショー「POP2*0ナイト」第2夜で、12月下旬発売予定のキャラクター音声合成ソフト「鏡音リン・レン」の歌唱デモが短時間ながら披露された。主催者によると同ソフトのデモは世界初公開という。
● 奥深き「テクノミュージック」の世界を堪能
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観客はステージとスクリーンを見ながら、トークを楽しんだ
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POP2*0ナイトはテクノミュージックが音楽界に与えた影響を、実際の音源を楽しみながら紐解くという内容。会場となった東京・青海のTOKYO CULTURE CULTUREは70~80名程度を収容できるレストラン風のスペースで、今回のトークショーでも観客がアルコールや食事を楽しみながらトークに聞き入った。
司会を努めたのは「電子音楽 in JAPAN」の著者である田中雄二氏。自身の所有する膨大な音源ライブラリーを約4時間にわたってダイジェスト的に紹介しながら進行した。第2夜は「ポップス編」と題され、歌謡音楽やアニメ・特撮テーマ音楽とテクノミュージックの関わりが中心的なテーマとなった。
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司会を務めた田中雄二氏
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会場で披露されたのは、テクノミュージックの第一人者であるYMOの3名が手がけた歌謡曲をまとめたコンピレーションCD「イエローマジック歌謡曲」(田中氏が選曲・監修を担当)に収録できなかった候補曲やシンセサイザーがいち早く導入されていたアニメ音楽など。そのアニメ音楽作家が独自に手がけていたアルバムも希少音源として披露された。
音源の充実ぶりは、パネリストとして参加したミュージシャンの戸田誠司氏をして「ドラえもんの4次元ポケットみたい」と言わしめるほど。田中氏も国会図書館へ足を運んで曲を探すなど、相当の力を入れているという。同じくパネリストとして参加したIT・音楽ジャーナリストの津田大介氏、ばるぼら氏(「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」著者)も舌を巻いていたようだ。
このほかテクノ音楽界の将来展望として、近年人気を集めつつあるという女性アイドル3人組のテクノポップユニット「Perfume」について分析、語らうシーンもあった。
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IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏
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ミュージシャンの戸田誠司氏
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● 初音ミクの意義とは?~鏡音リン・レンのデモも披露
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初音ミクの魅力を紹介するシーンも
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トークショー終盤では、音声合成ソフト「初音ミク」が話題に採り上げられた。津田氏は「初音ミク人気の起源はやはりニコニコ動画。当初は既存の曲を初音ミクに歌わせるのが中心だったが、オリジナル曲を歌わせようという潮流がでてきた。さらにセミプロあるいはプロ相当と思われる人間の手がける曲が増え、明らかにクオリティが上がってきた」と現状を解説する。
かねてから作品内に音声合成を取り込んできた戸田氏は「これまでは皆、(音声合成特有のクセをもった)ロボ声自体を好きだから使っていたはず」とコメント。ロボ声としてのクセが大幅に緩和された初音ミクは、ユーザーに新たな視点を提示する転換点になったと語る。
田中氏はマーケティング手法的にも興味深い点があると指摘。初音ミクでは、前身シリーズ「VOCALOID」から一転して小ぶりのパッケージや可愛らしいカバーイラストを採用してして手に取りやすくしたこともヒットの理由付けになりうると話す。
一方、田中氏から「『初音ミクで音楽を作るのは不毛』という論争がある。そのためにプロのミュージシャンが初音ミクについて語りづらい理由になっているのでは」という提起もなされた。この点に対して戸田氏は「私自身は初音ミク的な“オタ声”になんの抵抗もない。いま発言していないミュージシャンも、単に好みの声が出るソフトを待っているだけでは」とプロからの視点を示し、合成音への生理的抵抗感よりはアーティスト個人の趣向が要因だと解説する。
初音ミクの登場でアマチュアによるボーカル曲発表の手段も増えたが、これが有料の製品として販売できるかにはまだ質の面での不安もあるという。津田氏は「良い作品と思っても、無料公開だからこそ楽しめている部分もある。有料販売までには大きな壁もある」と話す。戸田氏も「ネット上の作品は恐らく1人で制作しているためか“甘さ”も見られる。それがもったいない」と補足。今後の課題も伺わせた。
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鏡音リン・レンのデモが行なわれた
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鏡音リン・レンの歌声デモは「いわばスペシャルプレゼント」(田中氏)として、トークショー最終盤に披露された。童謡「かえるのうた」の詩を変えた約20秒程度のアカペラ曲で、中央に初音ミク、左右に鏡音リン・レンを配した輪唱。ボーカルの重なる部分が多かったため各キャラの声質は聞き分けづらかったものの、鏡音レンの少年声などを感じとることができた。鏡音リン・レンの開発は現在も進行中という。
会場ではもう1つの観客へのプレゼントとして、戸田氏自身が初音ミクを使って制作した楽曲を披露している。また田中氏が紹介しきれなかった楽曲が多数あるとのことで、トークショーは次回開催を展望しつつ幕を閉じている。
関連情報
■URL
POP2*0ナイト告知ページ(TOKYO CULTURE CULTURE)
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_071107181959_1.htm
鏡音リン・レン(クリプトン・フューチャー・メディア)
http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/cv02.jsp
( 森田秀一 )
2007/12/10 12:10
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