米LindenLabは8日、同社が運営する3D仮想世界「Second Life」の中で、銀行業を営むことを禁止する決定を発表した。この新しいポリシーは2008年1月22日より施行される。
このような決定が行なわれた背景には、Second Life内で銀行業を営んでいた「Ginko Financial」が“債務不履行”を起こして2007年8月に倒産したことにある。それ以外にもSecond Life内のいくつかの銀行が債務不履行に陥り、LindenLabに苦情が寄せられていたとされる。このような銀行は仮想通貨のリンデンドルで預金を受け入れ、年率で20%から40%、高い場合には60%もの利子を謳っていた。
LindenLabでは基本的に居住者間の問題に立ち入ることはしないが、このような銀行の存在はSecond Lifeの仮想経済の大きなリスク要因となり、健全な発展を阻害すると考え、銀行業の禁止という厳しい措置に踏み切った。
今回の措置により、2008年1月22日以降、リンデンドルや他の通貨によるいかなる投資に対しても、利子あるいはその他の方法で報酬をもたらす行為が禁止される。また、Second Lifeの中で設置されているATMなどの銀行関連オブジェクトは除去される。このポリシーに反した場合にはアカウントの停止、土地の没収などの厳しい制裁措置が執られる。
ただし、実世界の政府規制当局による金融機関設立許可などを保有している企業による活動は存続できる。また、銀行業という形はとっていても、預金を受け入れることはせずにマーケティングや教育を目的としてで活動している団体の存続も許される。
銀行業の禁止措置によって、現在活動を行なっている業者が預金を持ち逃げするなどの問題が生じる可能性は否定できない。しかしLindenLabでは、たとえそうした問題が起こったとしても、将来にわたって被害者を増やさないためにこのような措置が必要だと考えている。また、Second Life内で発生するトラブルと同様、こうした詐欺行為に関しても、実世界の弁護士や規制当局、司法当局らとともに犯罪を摘発するために協力していくと説明している。
関連情報
■URL
SecondLife公式ブログの該当記事(英文)
http://blog.secondlife.com/2008/01/08/new-policy-regarding-in-world-banks/
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/01/09 12:23
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