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「AIR」でRIAを推進、アドビ2008年度戦略説明


アドビシステムズのギャレット・イルグ代表取締役社長

米Adobe Systemsの売上高推移
 アドビシステムズは27日、2008年度の事業戦略およびリッチインターネットアプリケーション(RIA)技術に関する記者説明会を開催した。説明会では、25日に公開したアプリケーション実行環境「AIR」の正式版や、アプリケーション制作ツール「Flex 3」の紹介も行なわれた。

 アドビシステムズのギャレット・イルグ代表取締役社長は、売上はグローバルベースで毎年好調に推移していると説明。「米Macromediaの買収でもわかるように、自然的な成長に加え、買収を経てさらに成長している。2社の代表的な技術であるFlashやPDFを統合することでシナジー効果も生まれている」と話す。

 2008年は現在のプラットフォームを拡張し、「プラットフォームプロバイダーとしてのポジションを確立する」という。そのための戦略として、「リッチインターネットアプリケーション(RIA)」「コラボレーション」「クロスメディア・クロスプラットフォーム」「ビジネス機会の提供」を挙げた。

 具体的には、FlashやAIR、Flexなどを通じたRIAの推進を行なう。「AIRの投入により、ITマネージャーや技術者、Webで事業を展開する企業などに、Webとデスクトップアプリケーションの長所を組み合わせた形を提供する」とした。コラボレーションでは、Acrobatを活用した情報共有・共同作業によるワークフローを提案する。「加えて、Web環境では、AIRを介することで、さらにコラボレーションが高まる」という。

 また、クロスメディア・クロスプラットフォームでは、映像分野において、コンテンツの制作から配信、視聴までの一貫したソリューションを提供できると説明。イルグ氏は、「アドビシステムズは制作環境を提供し、配信能力も提供し、最終的にはAIR技術を使いメディアに展開することを可能にしている」と述べた。さらに、Flash対応機器が普及していることを挙げ、「アドビ製品を使えば世界中のユーザーにコンテンツを提供できる」とアピールした。

 日本においては、パートナー企業と協力しながらソリューションを提供していくという。「プラットフォームでは、今後、FlashやPDFに加えてAIRを投入することになる。これにより企業は、エンドユーザーに対して、より便利で安価なサービスを提供することが可能」としたほか、「従来通りクリエイティブ製品も企業向けに提供する」と述べた。加えて、モバイル、セキュリティ、OEM分野のビジネス拡大も図る。Webを活用したパートナープログラムも開始するという。

 最後にイルグ氏は、「RIAは見栄えが良くなるだけではない」と説明。「AIRの導入によって、より幅広いユーザーにアプローチできる点が重要」とアピールした。


RIAを実現するソリューション Flash対応機器の出荷台数

AIRによってRIAを具現化できる

 米Adobe Systems Adobe Flexグループ プロダクトマーケティングマネージャーのデイブ・グルーバー氏は、AIRとFlex 3を紹介した。まず、RIA技術のプラットフォームについて、「2004年には、デスクトップとWebアプリケーションを融合できる環境が整った。これをRIAと呼んでおり、AIRによって具現化できる」とした。

 グルーバー氏はAIRについて、「Webデベロッパー向けの技術。今までに修得した知識を生かしてアプリケーションを作成し、デスクトップに提供できる」と説明。「Webの技術を活用したアプリケーションを、OSやブラウザを越えて、自社ブランドで提供できる」とした。さらに、「アドビ技術の歴史において、AIRの到来は大きな革新。多くの人がネット上で情報に触れるあり方が変わった」とアピールした。

 Flexについては、「主要なブラウザだけでなく、AIRによってデスクトップにも展開できるアプリケーションを構築可能」とし、主な用途として「製品コンフィグレーション」「業務アプリケーション」「動画配信サイト」の構築などを挙げた。Flex 3では、デザイナーとデベロッパーが共同制作する上で重要となるCS3シリーズとの統合をはじめ、AIR関連の機能やデータ連携の機能を強化。アプリケーションサイズの軽量化なども行なっている。

 米Adobe Systemsシニアプラットフォームエバンジェリストのエンリケ・デゥボス氏は、AIRを利用したアプリケーションや、Flex 3の製品版「Flex Builder 3」のデモを行なった。アプリケーションでは、「Google Analytics」のデータを活用したアクセス解析ツールなどを紹介。「これまで個々に提供されていたWeb上のサービスをマッシュアップして、AIRで表示している」とした。Flex Builder 3では、デザイナーがFlashで作った素材を、デベロッパーがFlex Builderに取り込んで作業を引き継ぐ機能を見せた。


米Adobe Systems Adobe Flexグループ プロダクトマーケティングマネージャーのデイブ・グルーバー氏 米Adobe Systemsシニアプラットフォームエバンジェリストのエンリケ・デゥボス氏

アプリケーションの変遷 アドビ技術革新の歴史 AIRの特徴

Flex 3の新機能 AIRアプリケーションの例。アクセス元を地図上に表示した画面 Flex Builder 3の画面。自動車部分をFlashで作成した素材に変更していた

関連情報

URL
  アドビシステムズ
  http://www.adobe.com/jp/

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( 野津 誠 )
2008/02/27 18:29

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