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シックス・アパートや日本ベリサインなどが「OpenID」普及団体設立へ

ヤフーやミクシィなど8社も参加表明

OpenIDの概要

「OpenIDファウンデーション・ジャパン(仮称)」にはヤフーやミクシィなど7社も参加表明した
 シックス・アパート、日本ベリサイン、野村総合研究所(NRI)の3社は28日、日本国内で「OpenID」技術を普及させるための団体「OpenIDファウンデーション・ジャパン(仮称)」を4月に設立すると発表した。ヤフーやミクシィ、ライブドアなど8社も同団体への参加を表明した。

 OpenIDは、共通のユーザーIDを複数のサイトで使えるようにする認証技術。ユーザー側のメリットとしては、複数のIDを使い分ける必要がなくなるため、IDや個人情報の管理が容易になる点が挙げられる。一方、OpenIDを導入するサイトは、他の対応サイトで登録されたIDを自社サービスに受け入れられるため、ユーザー登録を促進できるという。

 OpenIDは、米Six Apartが2005年に開発。その後、2007年6月に設立された非営利組織の米OpenID Foundationが、OpenIDの技術仕様を公開している。米国では2008年2月7日時点で、1万1,000以上のサイトがOpenIDに対応、2億5,000万件以上のOpenIDが発行されているという。OpenID Foundationは、IBM、Google、Verisign、Microsoft、Yahoo!の5社が法人理事を務めている。

 今回3社が設立するOpenIDファウンデーション・ジャパンは、OpenID Foundationの日本支部となる。現時点では、ヤフー、ミクシィ、ライブドア、ニフティ、テクノラティジャパン、アセントネットワークス、イーコンテクスト、インフォテリアの8社が参加を表明。今後は、グーグルやマイクロソフト、IBMなど「米OpenID Foundationに参加し、日本に活動拠点のある企業を中心に参加してもらう方向で検討している」(NRI情報技術本部技術調査部上級研究員の崎村夏彦氏)。

 日本支部の具体的な活動としては、英語で記載されているOpenIDのスペックや知的財産関連書類を日本語化して公開するほか、ユーザーやサイト管理者にOpenIDをわかりやすく解説する。また、OpenID普及促進のための検討グループを設け、議論の結果を米国にフィードバックする。なお、現時点の国内におけるOpenIDの発行数や対応サイトの詳細は不明で、今後の活動で正確な数値を把握するとしている。


米国におけるOpenID対応サイト数の推移。現時点では11,000サイトを超えるという OpenID Foundationの法人理事企業

まずはOpenID関連情報を日本語化してわかりやすく説明

左からシックス・アパートの関信浩氏、野村総合研究所の崎村夏彦氏、米Six Apartのデビッド・リコードン氏、日本ベリサインの石川和也氏
 28日に開かれた会見で、日本支部の発起人代表であるNRIの崎村氏は、日本支部設立の意義について次のように説明した。「OpenIDの関連情報は英語が大半で、日本語の情報がまだ少ない状況。国内でOpenIDの普及を促進するためには、日本の法制度や文化を熟知した上で、日本語で活動する必要性を感じた」。

 シックス・アパート代表取締役の関信浩氏も、「現在は、OpenIDの実装方法や動向が英語で議論されている状況」と指摘。まずは、これらの情報を日本語で伝え、企業が導入を考えるためのインフラを整えることで、国内のOpenID普及を推進していきたいと語った。

 米OpenID Foundationで副会長を務める米Six Apartのデビッド・リコードン氏によれば、OpenIDが普及する過程としては、まずオープンソース開発者が採用した後、Web 2.0関連企業、大企業という流れが一般的だという。しかし、日本においてはすでにヤフーがサポートしていることからも、「欧米の普及スピードとは異なるのではないか」と日本におけるOpenID普及に期待を示した。

 このほか、記者からは「OpenIDが漏洩すれば、他の対応サイトにログインされるのではないか」という指摘が寄せられた。これに対して崎村氏は、「OpenIDの認証を行なうプロバイダーの対応方法に依存するが、動画や携帯電話などIDとパスワード以外の認証スキームを取り入れる方法がある」と述べ、認証提供サイト側が対応を強化すれば情報漏洩の危険を回避できるとした。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.sixapart.jp/press_releases/2008/02/28-1130.html

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( 増田 覚 )
2008/02/28 15:21

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