内田洋行とATRが合弁会社設立、英語eラーニング製品を販売

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内田洋行とATRが合弁会社設立、英語eラーニング製品を販売

新会社「ATR Learning Technology」設立会見に出席した関係者

　国際電気通信基礎技術研究所（ATR）と内田洋行は28日、語学教育事業を手がける新会社「ATR Learning Technology」を共同で設立し、Webベースで英語学習できるeラーニング製品「ATR CALL」の販売を5月から開始すると発表した。

　新会社は、小学校での英語授業導入や、一般社会における英語教育への関心向上を契機に設立。語学学習技術などの基礎研究を行なうATRが新会社へ特許や技術をライセンス供与し、新会社がより具体的な形で商品化していく計画。教育市場への具体的な展開は、内田洋行をはじめとした販売協力会社が実施する。なお新会社の資本金は9,000万円。出資比率はATRの100％子会社「ATR Promotions」が55.6％、内田洋行が38.9％、新会社の代表取締役会長に就任する山田玲子氏個人が5.5％。

　新会社が開発し、5月から販売を開始するATR CALLは、学習者の年代別にカレッジ（大学生）・シニアハイ（高校生）・ジュニアハイ（中学生）・ジュニア（小学生）・キッズ（就学前児童）の5種類から構成。リズム学習・綴り・語彙・文法の順に学習を進めるなど、音声を重点的にとらえているのが特徴だ。

　実際の製品はATR CALLのソフトウェアをインストールしたサーバーとして提供する。価格は学内フリーライセンス/年間ライセンス契約時で40万円から（システム構築・保守運用費用を除く）。


英語学習用eラーニングシステム「ATR CALL」のWebサイト	ATR Learning Technologyの代表取締役会長である山田玲子氏

　28日の新会社設立発表会見では、ATR CALLの基礎となった研究を直接手がけ、新会社の代表取締役会長に就任する山田玲子氏が登壇した。山田氏は「日本人がLとRの発音を区別できないというエピソードは国際的にも有名。同じ人間なのに、母国語が違うだけでなぜここまで違うのかという疑問があった」と基礎研究の発端を振り返る。山田氏は声紋の分析などをはじめとした各種の実験を通じ、学会などで言われていた「成人は外国語学習の訓練効果がない」という常識を覆すだけの科学的な裏付けなども得たという。

　山田氏は「数多くの実験から得られたのは、外国語学習における『音声』の重要性」と解説。聞き取りと発音の訓練がそれぞれに好影響を与えるという効果も実際に証明されているとも補足し、音声学習に重点を置いたATR CALLの開発に至ったと説明する。

　教育機関向けの提供にあたって、もともと研究用に開発したシステムをeラーニング教材に適した形式へと改変。発音の正確さを具体的な点数として表示する機能を搭載したほか、幅広い年代に対応できるだけのコンテンツ量を実現した。また、1つの単語に対して老若男女さまざまな世代の発声サンプルを用意するなど、より実地を意識した配慮もなされているという


発音の正確さを点数化することが可能	絵と語彙を組み合わせて学習するための例題

　ATR Learning Technologyの代表取締役社長を務める早川勝也氏からは、2009年3月までの初年度（第1期）目標として売上高1億円、文教市場を中心に50ユーザーの獲得を目指す方針が示された。また「2010年3月までの第2期は企業マーケットにも販売先を広げ、売上高2億1,000万円、100ユーザーへの導入を達成したい」としている。

　発表会見に同席した内田洋行の代表取締役社長である向井眞一氏は「おかげさまで教育市場向けの事業が大変伸びており、当社としてもeラーニングやコンテンツ事業への進出を徐々に進めている。我々が推進するユビキタス社会の実現に向けて、ヒューマンインターフェイスの開発で大変実績あるATRと協力できることは大変意義深い」と語った。

　一方、ATRの代表取締役社長である平田康夫氏は「ATRはNTTやKDDIなどの出資を受け、22年に渡って基礎研究を行なってきた企業。とはいえ基礎研究だけではメシは食えない、社会に役立つ研究をしなければ」とコメント。「基礎研究から実用化までは10～20年あっという間にかかってしまうことがほとんど。それだけにATR CALLは二十余年に渡る我々の成果だ」とその胸中を語った。


内田洋行の代表取締役社長である向井眞一氏	国際電気通信基礎技術研究所（ATR）代表取締役社長の平田康夫氏

関連情報

■URL
　 ATR CALL
　 http://atrcall.jp/atrcall/
　ニュースリリース
　 http://www.atr.jp/html/topics/press_080428_j.html

（森田秀一）
2008/04/30 11:10

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