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ビル・ゲイツ会長
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米Microsoftのビル・ゲイツ会長が7日、来日記者会見を開催し、日本市場に対する考えや自身の今後について話した。
ゲイツ会長は今回、日本のパートナーとの関係強化を目的に来日したという。「Windowsやグラフィカルユーザーインターフェイスが最初に本格的に定着した市場が日本であり、Microsoft Officeを統合した最初の市場も日本だった。我々にとって米国と日本は2大市場」と説明。日本においては今後、「Windows Media Center」に関する取り組みや、デベロッパーの育成に力を入れるとした。
また、「これからの10年間は第2のデジタルディケイド」だと話す。「PCでは新しいインタラクションが可能になるほか、“Software as a Service”によってシンプルにソフトウェアを活用することが可能になる」とした。さらに、「プロセッサーの進歩で我々は野心的な取り組みができるようになった」と述べ、「新技術を開発するため、年間80億ドル近くの研究費を投じている」と説明した。
スピーチでは、米Yahoo!の買収を断念したことに関する話題には触れず、質疑応答で話すかたちとなった。「ヤフーと対話するために努力したが、結論としては、それぞれ独立した方向性を追求すべきということになった。お互い独自に、広告主のための研究や検索の研究などを進めていく」と述べ、「Microsoftは独自の戦略に集中していく」とするスティーブ・バルマーCEOの声明を支持する考えを示した。
Yahoo!を買収できなかかったことで、今後の対Google戦略はどうするのかという質問にゲイツ会長は、「ソフトウェアの技術で競争する」と話す。「Googleは多くの国で検索に関する大きなシェアを持っている。これからもいろいろなイノベーションが検索の分野で出てくるだろう。我々はソフトウェアのテクノロジーを通じて競争していきたい。新技術を開発し、広告主にはインタラクティブ広告で選択肢を提供する。来月には、検索機能の次のバージョンを披露したい」と述べた。
このほか、日本のPC市場については、「他の国に比べて、学生のPC使用率が低い」と指摘する。オンラインでの学習環境が整っていないことなどを挙げ、「教育におけるオンライン化を進めていきたい」とした。さらに、「主要なアプリケーションの問題もある」と指摘。「新しいインタラクションやゲームを可能にするアプリケーションがPC市場を牽引する」と述べた。日本市場におけるゲーム事業やポータルサイト事業については、「どの国でも製品・サービスによってシェアの高い低いがある。今後、改良を重ねていく」とした。
ゲイツ会長は、7月よりMicrosoftの経営の第一線から退き、ビルアンドメリンダゲイツ財団の活動に注力するという。これについては、「今まではフルタイムでMicrosoft、パートタイムで財団の仕事をしてきたが、これからは逆になる。7月以降もMicrosoftの会長として戦略面ではお手伝いする」と説明。「私以外にMicrosoftを支えている者たちがもっと目立ってほしい。Microsoftで私がしてきたことは一部であり、もっと他の人たちも評価されるべき」と話した。また、財団の仕事で日本に来ることもあるという。
最後に、Windowsの次期バージョン、コードネーム「Windows7」については、「Windowsでやるべきことはまだまだ多くある。次のバージョンにも期待している」と述べるにとどまった。
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Microsoft
http://www.microsoft.com/
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( 野津 誠 )
2008/05/08 11:18
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