米Googleは8日、大企業向け有料Webセキュリティサービス「Google Web Security for Enterprise」を北米と欧州地域で開始すると発表した。このサービスは、ScanSafe社と、Googleが買収したPostiniの技術に基づいて「Google Apps」の1サービスとして提供される。
このサービスではまず、Webを通じて感染するマルウェア、スパイウェア、ゼロアワー攻撃に対処する。サービスは、SaaSとして提供されるため、従業員が出張先のホテルや喫茶店、ホットスポットで作業している場合にも守られることになる。
さらに、コンテンツフィルタリング機能も充実している。Googleが公開したスクリーンショットを見ると、従業員に対して閲覧を許可するサイトと禁止するサイトの分類を管理者が決定できる。例えば、ポルノや非合法的サイト、出会い系サイトを遮断する一方、ニュースやWebメールサービスなどへの閲覧を許可するといったポリシーを定めることができる。
また、セキュリティとコンテンツフィルタリングの管理をGoogle Appsのダッシュボードを通して行なうことができる。その画面では、禁止されているサイトを閲覧している従業員を一覧したり、多く利用されているコンテンツカテゴリーを分析することなどが可能だ。
これらのサービスはSaaSとして提供されるため、管理者の負担は少ない。特にリアルタイムにすべてのWebリクエストがスキャンされ、危険なコードが含まれていないか、新たにポリシーに反するサイトでないかどうかはサービス側で確認される。管理者には、アップデートをするなどの余分な作業は必要とされない。
また、年間固定費で利用できるため、ユーザー数や支社が増えたとしても、管理者の手間や費用が余分にかかることがなく、安定した運用を行なうことができる。
Googleはこれまでにも同社の脆弱性に対処するためのセキュリティチームやスパム対策チームを運用し、サーチエンジンにおけるセキュリティ対策に従事してきた。また、Gmailなどでもマルウェアをあらかじめ除去したり、スパム対策サービスを提供するなど、セキュリティ対策分野にも実質的に進出しつつある。Webアプリケーションの利用が広がるにつれて、この分野のセキュリティ対策も重要になり、今後Googleがコンシューマやエンタープライズを含め、どのようなサービスを提供するのか、また、どの程度セキュリティ分野に進出するかにも注目が集まりそうだ。
関連情報
■URL
Google Web Security for Enterprise(英文)
http://www.google.com/a/help/intl/en/security/web.html
ニュースリリース(英文)
http://www.google.com/press/annc/20080508_web_security.html
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・ 米Google、Postiniによる企業向け有料メール強化サービスを開始(2008/02/06)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/05/09 11:36
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