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公取委立ち入り検査にJASRAC理事長がコメント「ガラス張り」で正当性示す


JASRAC理事長の加藤衛氏
 独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会(公取委)が日本音楽著作権協会(JASRAC)に立ち入り検査をした件について、JASRAC理事長の加藤衛氏が14日、事実関係や今後の対応を説明した。

 同日JASRACが配布した資料では、今回の立ち入り検査は、JASRACが放送事業者と結んでいる「包括契約」が問題視されたためと説明。JASRACでは、放送事業者が収入の一定金額を支払うことで、管理楽曲の自由な利用を認める契約を結んでいるが、これが他の事業者の活動を排除している疑いが持たれたとしている。加藤氏によれば、包括契約の具体的問題点については、この被疑事実以外の詳しい説明はなかったという。

 「具体的な理由がわからないまま入られるのは多少の不満はあったが、公取委の立場上詳しく言えないこともあるかもしれないし、具体的な事実を確認するために入ったのかもしれないので、100%調査に協力をした。包括契約に問題があるのであれば、放送事業者との包括契約だけでなく、他の分野も調べるのかと聞いたが、今回は放送事業者との包括契約だけが対象ということだった。」

 今回の立ち入り検査の位置づけとしては、必要に応じて排除措置命令または課徴金納付命令をするための「行政調査」となる。独禁法違反の疑いで公取委が行なう調査には、必要に応じて刑事告発をするための「犯則調査」もあるが、今回は行政調査に該当する。調査期間は、公取委が入手した資料の分析や関係者からの事情聴取などで数カ月から1年程度要するという。

 なお、JASRACの放送に関する音楽著作物の使用料規定には、今回調査対象とされている包括契約以外にも、曲別に算定する「曲別使用料」も用意されている。曲別使用料を適用するには、放送事業者がすべての利用楽曲を逐一把握して報告する必要がある。しかし、現時点ではこれを実現することは困難として、放送事業者との合意で包括使用料が適用されているという。JASRACでは、こうした著作権管理の実状についても公取委に説明するとしている。

 今回の立ち入り検査に関するJASRACの見解として加藤氏は「言いたいことはある」としたものの、被疑事実が具体的でなく公取委の調査結果も出ていないことから、コメントを差し控えている状況と説明。今後は、「疑いがないことを証明する材料をガラス張りにしてすべて公取委に見せる」と述べ、引き続き検査に協力する姿勢を強調した。

 なお、個人的感想と前置いた上で加藤氏は、立ち入り検査の対象となった包括契約の正当性をアピールした。「公取委にいきなり来られて、正直『どこが問題?』という気持ちが強かった。さらに、『包括契約に問題がある』と言われ、二重にびっくりした。包括契約は30年前からやっている仕組みで、放送事業者の強い要望から作られたもの。包括契約は、音楽の多様性を担保するもので、エンドユーザーのニーズにも応えているという自負がある」。


関連情報

URL
  日本音楽著作権協会(JASRAC)
  http://www.jasrac.or.jp/

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( 増田 覚 )
2008/05/14 17:33

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