米著名投資家のCarl L.Icahn氏は15日、米Yahoo!会長のRoy Bostock氏宛に書簡を送り、Yahoo!がMicrosoftと合併するための新取締役候補名簿を提案。委任状争奪戦も辞さない旨を伝えるとともに、この書簡も公開した。
Icahn氏は書簡の中で、「Yahoo!取締役会が不合理に行動し、株主とMicrosoftの信頼を失ったことは私にとって明白である」と説明。Microsoftの提案した1株あたり33ドルの提案は、Yahoo!の業績を考えた時により優位な選択肢であり、「あまりにも楽観的な業績予想」に基づくYahoo!の考え方に不快感を示した。そしてYahoo!とMicrosoftの組み合わせは、Googleと戦えるだけのダイナミックな企業を作り上げるとの考えも明らかにした。
Icahn氏はこの考えを実現するため、この10日間で約5,900万株相当のYahoo!株を取得し、10人の新取締役候補名簿を提出。さらに米連邦取引委員会からYahoo!株約25億ドル分を購入することについて、反トラスト法に基づくクリアランスを得たとしている。
Icahn氏が提出した新取締役候補名簿は次の通り。
- Lucian A. Bebchuk氏:コーポレートガバナンスを専門とするHarvard Law School教授
- Frank J. Biondi, Jr.:Viacomの元社長兼CEO、Universal Studiosの元会長兼CEOで、現在は投資顧問会社WaterView Advisorsのシニアマネージングディレクター
- John H. Chapple:Nextelの創業者で元CEO。現在プライベートエクイティファームHawkeye Investments社長
- Mark Cuban:NBAのDallas Mavericksのオーナー。ハイビジョンテレビネットワークHDNetの共同創業者。かつてBroadcast.comをYahoo!に売却した経歴もある
- Adam Dell:IT系ベンチャーキャピタルImpact Venture Partnersのマネージングジェネラルパートナー
- Carl C. Icahn:Icahn CapitalのCEO
- Keith A. Meister:Icahn Enterprisesのプリンシパルエグゼクティブオフィサー
- Edward H. Meyer:投資管理会社Ocean Road Advisorsの会長兼CEO
- Brian S. Posner:著名個人投資家
- Robert K. Shaye:映画会社New Line Cinemaの創設者で共同CEO兼共同会長
Icahn氏は、1985年には航空会社TWA社に対する敵対的買収を仕掛け、「乗っ取り屋」としての評判を得た。最近ではTime Warner社の株式を一部取得し、影響力を行使し続けている。
今回の提案でIcahn氏は、MicrosoftとYahoo!の合併を強く望んでいるが、Microsoftは一度この買収戦から撤退を表明しているため、今後Icahn氏がMicrosoftとYahoo!の株主を十分説得できるかどうかに注目が集まりそうだ。
関連情報
■URL
Icahn氏が米証券取引委員会に提出した公開書簡(英文)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/921669/000092847508000161/dfan14a51508.txt
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/05/16 13:46
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