ヤフーは4日、Yahoo! JAPANの地図検索サイト「Yahoo!地図情報」の名称を「Yahoo!地図」へと変更し、リニューアルした。地図の細かなナビゲーションインターフェイスを改良したのをはじめ、口コミ情報の表示など、Yahoo! JAPANの各サービスとの連携を強化。ブログなどへ地図を貼り付けられる、「Google マップ」への対抗機能も追加した。
● 10周年を迎え「Yahoo!地図」ブランド展開、ASPやラボも
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「Yahoo!地図」の地図表示ページ
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Yahoo! JAPANの地図サービスは1998年に開始され、今年で10周年を迎えた。この間にヤフーはアルプス社を子会社化。地図会社としてのアルプス社と、地図サービス会社としてのヤフーが密接に連携して、ユーザーらによる口コミマップや携帯電話用の地図アプリケーションを提供するなど、サービスを拡充してきた。
さらにこの4月には、ヤフーがアルプス社を吸収合併。ヤフーが単なる地図サービスとして地図を提供するだけでなく、「地図以外のさまざまなYahoo! JAPANのサービスを取り込むためのユーザーインターフェイスやプラットフォームとして、地図をより融合できるようになった」(Yahoo!地図・路線担当プロダクトマネージャーの来田宣之氏)という。
「Yahoo!地図」への名称変更は、Yahoo! JAPANの地図サイトとしてだけでなく、「今後、同ブランドで広く地図サービスを展開していくことも見据えてのことだ。これまでアルプス社が企業向けにASPで提供していたサービスも、例えば「Yahoo!地図ASP」といった名称で展開していく予定だ。また、「Yahoo!地図ラボ」を公開する可能性も考えられるとしている。
● 検索窓を横長に、マウスホイールによる拡大・縮小にも対応
今回のリニューアルでは、半年間かけて地図サイトの実際の使われ方を調査し、ユーザーの視点に立って機能追加や細かい改良を行なったという。また、アルプス社のノウハウを受け継ぎ、「職人的な作り込みを行ないつつ、ユーザーに優しいフロントエンド」(来田氏)も目指した。
まずインターフェイス面では、Yahoo!地図のトップページにある検索窓の横幅を大幅に拡大した。これは、駅名や施設名などの短いキーワードだけでなく、住所を丸ごとコピー&ペーストして検索するユーザーが多いことに配慮したのだという。また、従来は都道府県のディレクトリが表示されている、地図サイトとしては素っ気ないトップページだったが、日本地図から都道府県、市区町村へと辿っていけるクリッカブルマップを掲載した。
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従来の「Yahoo!地図情報」のトップページ
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リニューアルした「Yahoo!地図」のトップページ
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トップページではこのほか、毎日更新している地図データの中から、比較的規模の大きい変更点をリストアップして掲載していく。新たに開通した道路や橋などにとどまらず、例えば「赤坂サカス」のようなランドマーク的な施設についても逐次、変更点を告知する。
操作面については、地図をスクロールできることが意外に知られていないという調査結果を受け、地図画面の上下左右に大きめのスクロールボタンを設置。もちろん、マウスドラッグでもスクロールできる。また、マウスホイールで縮尺を変更できる「Google マップ」ライクな操作にも対応した。さらに、地図の表示サイズがPCの画面サイズにジャストフィットする仕様に変更し、広告スペースも縮小した。
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従来の「Yahoo!地図情報」の地図表示ページ
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リニューアルした「Yahoo!地図」の地図表示ページ
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● Yahoo! JAPANからの約620万件の周辺情報のほか、口コミ情報も参照可能
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検索した場所までの最寄り駅からのルート表示
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地図表示ページは、右側に地図、左側に各種情報を表示する「情報」「検索」「道案内」タブを配置している。
このうち、地図を検索した後に最初に表示される状態では「情報」タブが開いており、そのいちばん上に最寄り駅の情報を表示するようにしたのが特徴だ。駅名をクリックすることで、「道案内」タブが開くとともに、最寄り駅までの徒歩ルートが地図上に表示され、所要時間もわかる。最寄り駅は、プルダウンメニューにより5件の候補から選択可能だ。この機能は従来も提供していたものだが、わかりにくかったためか、あまり使われていなかったようだという。
「情報」タブではこのほか、周辺の店舗や施設などを検索できるディレクトリを表示。「銀行」「居酒屋」「コンビニ」など、ニーズの高いカテゴリがいくつか表示されているほか、「検索」タブを開くことで、さらに細かいカテゴリ一覧から辿ったり、キーワードによる検索が行なえる。
検索できる周辺情報は、「Yahoo!グルメ」「Yahoo!地域情報」「Yahoo!電話帳」などをはじめとする24サービスが保有する約620万件以上に及ぶ。従来の周辺情報検索は11サービスだったが、「Yahoo!ファッション」「Yahoo!無線LANスポット」などが追加されるとともに、「Yahoo!不動産」の新築マンションモデルハウス情報、「Yahoo!リクナビ」の転職情報や短期アルバイト情報など、従来から連携しているサービスでも情報を拡充している。
さらに、ユーザーによる口コミ情報が投稿できるサービス「ワイワイマップ」とも連携した。検索した場所の周辺の50スポットまで表示でき、ユーザーによるコメントや写真を参照できる。なお、これらの情報は、Yahoo! JAPANの各サービスで提供しているオフィシャル情報とは分けて表示される。ワイワイマップではテーマごとに地図が分かれているが、それらを横断してYahoo!地図情報のメイン画面で参照できるのがメリットだ。
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周辺情報をカテゴリから辿れるディレクトリ
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「ワイワイマップ」からの口コミ情報表示
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● 徒歩ルート検索や、ブログ貼り付け機能を新たに提供
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新機能の「2地点間の道案内」
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新機能としては、「道案内」タブ内の「2地点間の道案内」が挙げられる。任意の2地点間の最短ルート(20kmまで)を検索・表示できるもので、そのルートの総距離と、徒歩による所要時間も計算して表示する。
また、ブログやサイトに地図を貼り付けることも可能になった。地図画面の右上にある「この地図のURL」をクリックすると、URLのほか、貼り付け用のソースが表示される。地図のサイズは、小(320×240)・中(480×360)・小(640×480)から選択するか、自由に数値を入力して設定するこも可能だ。また、「Yahoo!ブログ」については専用のボタンがあり、簡単に貼り付けられる。
なお、クレオからパッケージ製品として発売予定の地図ソフト「プロアトラスSV4」には新たに搭載される全国の地下街マップだが、Yahoo!地図への実装は未定だ。まずは、ユーザー参加型の地図更新サービス「みんなで作ろうYahoo!地図」に地下街マップを導入し、ユーザーからの情報も踏まえてデータを整備。その上でYahoo!地図への実装を検討する考えだ。
関連情報
■URL
Yahoo!地図
http://map.yahoo.co.jp/
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( 永沢 茂 )
2008/06/04 13:40
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