インターネット上の薬局で販売される薬の6割以上が偽物であり、そのほかにも違法な販売手法がとられていることがわかった。安全な薬が入手できるよう活動している団体「The European Alliance for Access to Safe Medicines(EAASM)」が5日に発表した調査報告書「The Counterfeiting Superhighway」で明らかにされた。
この調査はEUを対象に実施されたものだが、インターネットで購入した薬のうち、まがいものでない正当なブランド製品はわずか38%。さらに、このまがいものでなかった薬のうち16%は、EUに不正輸入されたものだった。また、33%は、患者のための情報提供パンフレットが提供されない違法な状態で販売されていたという。
今回の調査結果では、ネット薬局の多くが違法営業している実態も明らかになった。ネット薬局の95.6%が違法営業しており、94%のサイトで薬剤師の氏名を明記していないため、真偽の確認をすることができなかったという。また、90%以上のWebサイトで、処方箋が必要な薬を処方箋なしで販売していた。さらに86%のネット薬局では、薬局として認可されていることを証明するスタンプが偽造されていた。
販売方法にも重大な問題が認められた。心臓血管薬の「Plavix」とともに無料の「Viagra(バイアグラ)」が提供された事例があったという。心臓病患者は、たとえ勃起不全のような症状でも、医師の指導のもとに薬を摂取しなければならず、特に複数の薬を摂取する場合は特にそのことが重要だ。このような、人体に危険を及ぼすような販売方法が数件観察された。
こうした重大な問題があることから、EAASMでは、偽薬の宣伝をするWebページをGoogleやYahoo!、MSNなどのサーチエンジンから削除するよう求めている。このような手法は幼児ポルノ撲滅で成功を収めており、違法なネット薬局を撲滅するためにも有効だと考えている。
関連情報
■URL
調査結果(英文)
http://www.eaasm.eu/Media_centre/News/The_Counterfeiting_Superhighway
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/06/06 13:45
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