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グーグル、開発者向けイベントにて「Android」を3G対応のデモ機で披露


グーグルの村上憲郎代表取締役社長
 グーグルは10日、開発者向けのイベント「Google Developer Day 2008 Japan」をパシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)で開催した。午前中の基調講演では、Webアプリケーションの課題と解決について、Googleが提供している技術とあわせて紹介した。

 グーグルの村上憲郎代表取締役社長は、冒頭の挨拶で、「2007年は5月31日に全世界8都市で同時開催したが、2008年は本日を皮切りに、10月28日のモスクワまで、13都市を巡って開催する」と説明。「本日のセッション数は20で昨年の2倍以上になった。今回は、参加者がコードを書くといった実践的なセッションも設けた。開発者にとって意義のある一日にしたい」と述べた。


開発者と一緒に問題解決を

グーグルのシニアプロダクトマネージャー及川卓也氏
 グーグルのシニアプロダクトマネージャーを務める及川卓也氏は、5月28日と29日に米国サンフランシスコで開催された開発者向けのイベント「Google I/O」の内容を日本向けに説明した。インターネットを活用する上での課題および解決について「クライアント」「コネクティビティ」「クラウド」という3点について紹介した。

 及川氏は、コンピュータを時代別に「メインフレーム」「パーソナルコンピュータ」「インターネット」に分けて解説した上で、「インターネット時代になり、Web上で多くのアプリケーションを扱えるようになった。これをクラウドと呼んでいるが、クラウド環境はすべての開発者が簡単に利用できるものではない」と指摘。加えて、「Webアプリケーションはユーザーへの展開が用意だが、必ずしもニーズにマッチしているものではない」とした。

 現状の課題としては、「クラウドをよりアクセスしやすくする」「クライアント(ブラウザ)をパワフルにする」、クラウドとクライアントを結び付ける「コネクティビティをユビキタスにする」ことを挙げ、「これらを開発者とともに解決していきたい」とコメント。「我々が一方的に解決策を提示するのではなく、持っている技術をオープンにすることで、皆様と一緒に問題を解決していきたい。それが、今回のようなイベントを開催する理由」と述べた。


コンピュータの変遷 開発者に提供する3つの技術 オープンウェブによるエコシステム

「Android」を3G対応のデモ機で披露

米Googleのモバイルプラットフォーム担当シニアディレクターのアンディ・ルービン氏
  基調講演では、クライアント、コネクティビティ、クラウドのテーマに沿って、グーグルの技術を紹介した。

 クライアントでは、「Gears」を紹介した。Gearsは、オフライン状態でもWebアプリケーションを利用できるようにするブラウザ拡張とAPIで、オープンソースプロジェクトのひとつ。今後は、「Gearsに含まれる技術のいくつかはHTML5に準拠し、よりオープン化を加速するほか、ブラウザはWindows Mobileにも対応する」という。

 コネクティビティでは、「Android」を紹介した。Androidは、携帯電話向けの共通プラットフォーム。米Googleのモバイルプラットフォーム担当シニアディレクターを務めるアンディ・ルービン氏が、Androidを搭載した3G対応のデモ機を披露した。メニューやアプリケーションを起動し、操作して見せたが、画面を指でタッチ&スライドする操作は「iPhone」に似ている。

 デモでは、Google Mapsの「Street View」を表示した。Street Viewとは、道路に沿って撮影した画像を加工し、その中で前後の移動や回転を可能にして、実際に通りを歩いているように見せる機能。デモ機には電子コンパスが内蔵されており、端末の向きを変えると、Street Viewの風景も連動してスムーズに動いた。

 クラウドでは、「Google App Engine」を紹介した。Google App Engineは、Googleのインフラを使って、アプリケーションのホスティングを行なう無償サービス。ストレージ(最大500MB)とネットワーク、月間500万PVまで可能なサーバーを利用できる。日本向けにも10,000人限定のプレビュー版を公開している。また、追加購入できる機能の価格も提示した。


デモ機に搭載したツール Google Mapsの「Street View」を表示した画面 Gearsの対応状況

Google APIのエキスパート認定プログラムを開始

グーグル執行役員製品企画本部長の辻野晃一郎氏
 また、及川氏は、「ソーシャル化するWeb」を解説し、グーグルが提供しているものとして、「iGoogle」「Google Maps」「YouTube」といった既存製品のソーシャル化や、SNSを構築できる基盤技術「Open Social」を紹介した。Open Socialは、2007年11月の発表以降、現在の利用者は2億7,500万人、開発者は2万人、インストール可能なアプリケーションは5,000万件に上るという。

 このほか、「Webデベロッパーと呼ばれる人は幅広い層におり、APIの間口を広げることで多くのユーザーに利用してもらいたい」として、Flash上でGoogleマップを利用できる「Google Maps API for Flash」や、ブラウザ上でGoogle Earthを利用できる「Google Earth API」を紹介した。さらに、URLでパラメータを渡すだけで結果を返す「Chart API」や「Google Static Maps API」なども紹介した。

 最後に、グーグル執行役員製品企画本部長の辻野晃一郎氏が、開発者向けのサポート体制について説明した。GoogleのAPI群を活用するための開発者向けサイト「Google Code」において、新たにいくつかのAPIの日本語解説ページを公開したほか、優秀な開発者を認定する「Google API experts program」を発表した。マップやガジェットなど、各種APIごとに日本人のエキスパートもすでに登録されており、API別のコミュニティも開設。開発者間でのディスカッションを支援する。


簡単にSNSを構築できるという「Google Friend Connect」 Google Maps API for Flashで構築したフライトシュミュレータ。手前がコントローラで、前後左右に傾けるとMap上を飛行機が移動 Google Earth APIを利用したコンテンツ。3Dマップ上を車で移動できる。ブラウザで表示可能

より簡単にAPIを利用可能にしたREST機能 各APIにおける日本人の認定開発者 Web上でのコミュニケーションからリアルなイベントや交流会で開発者を支援

ラストで辻野氏が提示したグーグルからのメッセージ 会場ロビーに展示されていた巨大ロゴ

関連情報

URL
  Google Developer Day 2008 Japan
  http://code.google.com/intl/ja/events/developerday/2008/home.html
  Google Code
  http://code.google.com/intl/ja/


( 野津 誠 )
2008/06/10 19:38

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