ニューヨーク州司法長官のAndrew M.Cuomo氏は10日、米大手ISPのVerizon、Time Warner Cable、Sprintの3社が、児童ポルノ情報を遮断することで合意したと発表した。
Verizonの会員数は820万、Time Warner Cableは790万に上り、両社ともに世界の大手ISPの五指に入る。Sprintは米国内3大携帯キャリアの1つで、この3社が児童ポルノ撲滅に動き出したとは、業界全体に大きな影響を与えると考えられる。
今回の合意は、ニューヨーク州司法長官が指揮する捜査によって、これらISPからアクセスできるところに児童ポルノ情報が存在することが判明したことがきっかけ。発表によると、この捜査でニュースグループが児童ポルノの源となっているが判明したという。数百万の画像を捜査した結果、88の異なるニュースグループに合計1万1,390件の児童ポルノ画像を発見。これらの画像は思春期前の児童を扱っており、いくつかのケースでは児童がレイプされているものや、動物を含む性的行為が写っていた。
この捜査では児童ポルノ画像のハッシュ値のライブラリーを作成し、何千枚もの画像を高速に精査して、児童ポルノを発見する新手法を採用した。その結果として、これらニュースグループに児童ポルノ画像が存在することが判明したため、3社は、児童ポルノニュースグループへのアクセスを完全に遮断することで初めて合意に達した。
3社は、さらにニュースグループ以外にも、児童ポルノを提供しているサーバーを一掃することを決定した。児童を保護する活動を行なっているNational Center for Missing & Exploited Children(NCMEC)は、児童ポルノ情報を扱う非合法的Webサイト情報を定期的に収集しており、その情報をもとに該当するサーバーを一掃することにしている。
今回3社は、司法長官との合意のもとで、総額112万5,000ドルを拠出。司法長官室とNCMECを支援し、児童ポルノ情報に関するユーザーからの苦情に迅速に対処するためのシステムを構築することも決定した。
今回の決定についてCuomo氏は、「インターネットの児童ポルノがどこにでも入り込んでいくこの状況は身震いするほどで、止められなければならない。我々はISPがこの非倫理的なビジネスのスポンサーに決してなることがないよう、ISPとともにこの問題に立ち向かう。私は、責任を果たすための新たな基準を採用したこれらの企業を称賛し、これが業界全体のモデルとなるべきことを期待する」とコメントしている。
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■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.oag.state.ny.us/press/2008/june/june10a_08.html
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/06/11 12:00
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