シマンテックは19日、「ルートキット」の脅威に関する説明会を開催した。
● ウイルスを隠すために活用されるルートキットが増える
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シマンテックセキュリティレスポンス主任研究員の林薫氏
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ルートキットはもともと、UNIX上で管理者権限を得るためのツール類を指していた。しかし、最近ではこれが派生して、Windows上でファイルやレジストリ、プロセス、または自らの動作を隠すために、システムの改変を行なうコンポーネントを指すことが多いという。
シマンテックセキュリティレスポンス主任研究員の林薫氏は、ルートキットがウイルスと組み合わせて使われるようになってきたと指摘する。「最近では、ボットやStormワーム、オンラインバンクやオンラインゲームを標的にするトロイの木馬などを隠すために活用される。ルートキットが一般化してきたといえる」。
その証拠に、シマンテックが2007年下半期に集計した新種マルウェアのランキングでは、トップ10のうち2種がルートキットを活用。また、PC侵入後に別のウイルスをダウンロードする「ダウンローダー」のランキングでは、トップ10のうち6種がルートキットを活用していた。
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新種マルウェアコードトップ10
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ダウンローダートップ10
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● ソースコード公開でカーネルレベルのルートキットが増える
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ルートキットの種類
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林氏によればルートキットは、アプリケーションレベルに実装される「ユーザーモード」と、OSなどのハードウェアに近いレベルに実装される「カーネルモード」の2種類に分けられる。現在では、ほとんどがカーネルモードのルートキットが用いられているという。
ユーザーモードは、アプリケーションレベルで実装されるため技術的なハードルが低いが、制限が多いことが特徴。これに対してカーネルモードは、OSに近い部分、つまり特権レベルで実装されるため、制限がないという。また、かつては技術的なハードルが高かったが、実装のためのソースコードがインターネット上で掲載され、技術的なハードルが下がったとしている。
ルートキットの問題点について林氏は、ウイルス対策ソフトでの検出・削除が困難なことを挙げる。特にカーネルモードのルートキットの多くは、PCをセーフモードで起動しても動作するほか、削除を困難にする技術も併用していることから、検出に成功しても削除が難しい。「検出・削除が長期化することで、データの盗難やリソースの悪用などの被害が拡大する」。
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「ユーザーモード」ルートキットの仕組み
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「カーネルモード」ルートキットの仕組み
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● ルートキット検出・削除が難しい理由
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シマンテックプロダクトマーケティング部リージョナルプロダクトマーケティングマネージャの広瀬努氏
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同社プロダクトマーケティング部リージョナルプロダクトマーケティングマネージャの広瀬努氏は、ウイルス対策ソフトでルートキットの検出・削除が困難な理由について、「大半のウイルス対策ソフトは、Windowsのファイルシステムに依存するため、ファイルシステム以下で動作するカーネルモードのルートキットの検出・削除が難しい」と説明する。
広瀬氏は、同社のセキュリティ対策ソフト「ノートン・インターネットセキュリティ」では2006年版製品からルートキット検出機能が搭載されており、同機能ではOSカーネルのI/Oマネージャをバイパスするため、直接ディスク上のデータ構造をチェックしてルートキットを検出・削除できるとした。
また、2006年9月に米Thompson Cyber Security Labsが実施した調査を紹介。同調査は無作為に20種のルートキットを選び、セキュリティ各社製品で検知・削除を試みたもの。最も評価が高かったのは、シマンテックの検出数20種、削除数16種で、マカフィー(検出数17種、削除数6種)など他社に大きく差を付けたという。広瀬氏は、ウイルス対策ソフトの評価基準について、「定義ファイルの更新速度だけでなく、高度な技術を用いたルートキットの対策も見極めるべき」とアピールした。
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シマンテックが企業向けに提供する「Symantec Endpoint Protection」のルートキット検知機能の仕組み。コンシューマ向け製品「ノートン・インターネットセキュリティ」にも搭載されている
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2006年9月に米Thompson Cyber Security Labsが実施した調査。無作為に20種のルートキットを選び、セキュリティ各社製品で検知・削除を試みた
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関連情報
■URL
シマンテック
http://www.symantec.com/ja/jp/
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・ マスターブートレコードに感染するrootkitが出回る、Symantecなどが警告(2008/01/10)
( 増田 覚 )
2008/06/19 18:29
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