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Microsoft、取締役刷新を条件にYahoo!完全買収の再交渉も検討


 米Microsoftは、米Yahoo!取締役会の刷新が実現すれば、新経営陣との間でYahoo!完全買収を含めた再交渉を行う用意をしていることが、7日までに明らかになった。

 Yahoo!のCEOであるJerry Yang氏の辞任と取締役会の刷新を求めている著名投資家のCarl Icahn氏が7日、Yahoo!株主にあてた公開書簡を発表し、Microsoftもそれに合わせてコメントを発表。これに対してYahoo!も同日、反発する内容のコメントを発表した。


MicrosoftのBallmer CEO「Yahoo!の現経営陣とは取引できない」

 Icahn氏は公開書簡の中で、先週、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏と何度も話合いを持ったことを明らかにした。そのうち数回は1時間以上の会談になったという。書簡の中でIcahn氏は、Ballmer氏の考え方を披露している。それによると、「Steveは、ここ数カ月間におけるYahoo!との経験により、現取締役会とはいかなる取引交渉もできないことを極めて明確に明らかにした」としている。

 その理由は、もしMicrosoftが何らかの取引をYahoo!と行ったとすれば、米国や欧州、その他の地域で規制当局の承認を得るまでに最低でも数カ月かかるだめだ。その間、取引にかかわる買収資金などが据え置かれることになり、もし、その間にYahoo!経営陣が経営を誤れば、その膨大な資金が多大なリスクにさらされることになる。

 したがってBallmer氏は、もし新しい取締役会が選任されたら、Yahoo!の検索部門を買い取ってYahoo!に大きな金銭的補償を行う取引、またはYahoo!の完全買収を含む選択肢を交渉することに関心を抱いていることを明らかにしたという。

 Icahn氏の公開書簡を受けてMicrosoftが発表したコメントは、Icahn氏の主張を裏付けている。そのコメントでも、Microsoftは取締役会が刷新されれば、Yahoo!と完全買収を含む再交渉を行う用意があることを明記している。

 両者のコメントが示すところは、いずれも現経営陣とは取引しないということだ。Icahn氏はこのことを公開書簡の中で述べ、「1つのことだけは明らかだ。Jerry Yang氏とYahoo!の現取締役会は、Microsoftとの交渉で再びへまをすることができない。なぜなら、単にその機会を得ることができないからだ」と皮肉った。

 なお、Icahn氏もMicrosoftも、現時点では彼らの期待する新経営陣との間で提案されるかもしれない買収価格などについては、未確定のことであるためコメントしない方針だ。


Yahoo!「買収したいなら、即座に再提案を」

 この状況に対してYahoo!も7日、コメントを発表した。まず「Yahoo!取締役会は、MicrosoftによるYahoo!買収交渉に入る用意ができている」とした上で、Icahn氏とMicrosoftが考えている将来の交渉では、Yahoo!株主の利益にならないと指摘した。

 また、「もしMicrosoftとBallmer氏がYahoo!を買収したいのならば、我々は再提案を即座に行うようお勧めしたい。そして、もしIcahn氏が、Microsoftが何度も席を立ったその取引を実際にまとめることに期待する以上のYahoo!経営計画を実際に持っているのならば、我々はそれを聞くことに関心を持っている」とコメントしている。


関連情報

URL
  Icahn氏によるYahoo!株主あての公開書簡(英文)
  http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/921669/000092847508000248/dfan14a070708.txt
  Microsoftのコメント(英文)
  http://www.microsoft.com/Presspass/press/2008/jul08/07-07statement.mspx
  Yahoo!のコメント(英文)
  http://yhoo.client.shareholder.com/press/releasedetail.cfm?ReleaseID=319847

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/07/08 11:32

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