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医薬品ネット販売継続を、改正薬事法に向けた自主ガイドライン


JODA理事長を務めるケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏
 全国20都道府県の薬局・薬店など39店舗・企業が加盟する日本オンラインドラッグ協会(JODA)は6日、インターネットで医薬品を販売する上での必要条件を定めた自主ガイドラインを発表した。Webサイトやメールなどを通じて購入者の状態を把握し、適切な情報提供を行うことなどを掲げ、医薬品のネット販売継続を認めるよう主張。2009年4月に完全移行予定の改正薬事法に、ガイドラインの内容を反映させるよう厚生労働省に働きかけるという。

 自主ガイドライン制定の背景には、厚生労働省の有識者会議で、薬局・薬店のネット販売に否定的な見解が示されたことがある。有識者会議では7月4日、省令作成のベースとなる報告書を提出。その中では、これまで認められていた医薬品のネット販売について「対面の原則を満たさない限りは通信販売を認めるべきではない」と記載しているが、「対面の原則」を満たす要件は定義されていないという。

 有識者会議の報告書についてJODAは、「これをもとに省令が作成されてしまうと、通信販売が合理的な理由なく否定される可能性が大きく、協会としても危機感を強く感じている」とコメント。そこでJODAは、対面の原則を担保し、医薬品を安全・安心にインターネット販売するための自主ガイドラインを制定。医薬品のネット販売に携わるすべての事業者が最低限クリアする必要条件として、周知を図るという。

 対面の原則を担保する方法としては、インターネットなどの情報通信技術を用いて、購入者の状態を把握する。具体的には、Webサイトやメール、電話、ファックスなどを用いるとしているが、対応は購入者ごとに異なるという。「文字ベースで済む場合もあれば、(判断が)難しければ受診を勧める。まずは、ネットを通じて購入者の状態を吸い上げる仕組みが大切だ」(JODA理事長、ケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏)。


医薬品ネット販売が継続不可能となった場合の問題点

 「医薬品のネット販売が継続不可能となれば、通常の買い物に行くことが困難な消費者から、医薬品の購入機会を奪うことになる。また、情報技術革新の発展によって、現在または将来、消費者が享受できるはずの恩恵の芽までも摘みかねない。これまで医薬品のネット販売を行っている事実がある中で、突然法令によって規制されると、中小の薬局・薬店の事業継続を阻害することにもなる。」(後藤氏)

 なお、改正薬事法の省令作成のベースとなる報告書では、一般用医薬品(OTC医薬品)をリスクに応じて3区分に分類。特にリスクの高いものは第1類となり、この中には胃腸薬「ガスター10」や発毛剤「リアップ」などが含まれる。また、第2類には風邪薬「ルル」、禁煙補助薬「ニコレット」、痔の薬「ボラギノールA」など、第3類には整腸薬「ガスピタン」やうがい薬「イソジン」などが含まれる。

 これに対して報告書は、書面を用いた情報提供が求められている第1類のネット販売については「適当でない」と否定的な見解。これまで販売が認められていた第2類の医薬品については「対面の原則が担保できない限り、販売することを認めることは適当ではない」として、規制を強化する方針が盛り込まれている。販売時の情報提供に関する規定がない第3類については、販売を認めるとされている。

 JODAでは今後、医薬品をネット販売するすべての薬局・薬店に自主ガイドラインを周知するとともに、改正薬事法で第1類と第2類の医薬品のネット販売を認めてもらうよう、厚生労働省に働きかける考えだ。


関連情報

URL
  NPO法人日本オンラインドラッグ協会
  http://www.online-drug.jp/
  関連記事:ヘルシーネット、ECサイト「ケンコーコム」で医薬品販売を開始
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/1106/kenko.htm

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( 増田 覚 )
2008/08/06 15:05

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