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Kaspersky 2009シリーズ発表、検知エンジンを刷新して高速化


Kaspersky Internet Security 2009(右)、Kaspersky Anti-Virus 2009(左)
 ジャストシステムは10日、総合セキュリティ対策ソフト「Kaspersky Internet Security 2009」とウイルス対策ソフト「Kaspersky Anti-Virus 2009」を発表した。25日から試用版のダウンロード提供と、旧バージョンの利用者向けの無償バージョンアップを開始。10月3日からパッケージ販売とダウンロード販売を開始する。対応OSはWindows Vista/XP。

 「Kaspersky Internet Security 2009」の価格は、通常版のパッケージが1万3440円、ダウンロードが9345円。他社セキュリティ対策ソフト/サービスのユーザーやジャストシステム製品ユーザーを対象とした優待版はパッケージが7140円、ダウンロードが4914円。このほか、複数ライセンスの優待版や2年契約優待版も用意する。ライセンス更新料は1年で4095円など。「Kaspersky Anti-Virus 2009」の価格は、通常版のパッケージが9240円、ダウンロードが6720円。優待版のパッケージが6090円、ダウンロードが4410円。複数ライセンスの優待版も用意する。ライセンス更新料は1年で3045円など。


エンジン刷新で起動4割、スキャン時間8割短縮

 Kasperskyの2009年版では、新アルゴリズムのウイルス検知エンジンを新たに開発し、起動時間やスキャン速度の向上を図った。旧バージョンに比べて起動時間は約40%、スキャン時間(2回目以降)は約86%ほど短縮されたという。

 また、アプリケーションの動作を常時監視・解析する「プロアクティブディフェンス」にアプリケーションフィルタを採用し、監視を軽微にしても良いアプリケーションを設定しておくことで、PCへの負荷を軽減した。さらに、定義ファイルの更新間隔も1時間に1回から45分に1回へ短縮した。

 このほか、マルウェア対策としてシステム全般の脆弱性をチェックする「システム設定診断」、主要なOSやアプリケーションの脆弱性および設定をチェックする「セキュリティ診断」、Internet Explorerの既知の脆弱性をチェックする「Webブラウザ診断」を追加した。カスペルスキーセキュリティネットワークへシステム情報やウイルス情報を通報するフィードバック機能も備える。


起動時間比較 スキャン時間比較 定義ファイル更新間隔

セキュリティ市場での成長率は前年比120%以上

ユージン・カスペルスキー氏
 ジャストシステムは10日に記者発表会を開催し、「Kaspersky Internet Security 2009」「Kaspersky Anti-Virus 2009」について説明した。

 製品の開発者ユージン・カスペルスキー氏はビデオメッセージで新機能の概要を述べ、「ビルド番号ではなく2009と銘打ったKaspersky新バージョンは、サイバー犯罪に対抗するさまざまな独自の新機能を搭載した。パフォーマンスも向上しており、ほとんど影響を感じないほど軽くなった」とコメントした。

 ジャストシステムのアライアンスビジネス部セキュリティビジネスグループKasperskyプロジェクトリーダーの横井太輔氏は、「セキュリティ市場への参入は最後発ながら、Kasperskyは一定の評価を得ている」と話す。国内のKasperskyアクティブユーザーは50万人で、市場シェアは5%だという。「成長率は前年比120%を超える」とアピールした。

 好調な理由については、「従来のセキュリティベンダーが訴求しなかった“性能”を最優先にしたから」と話す。「性能とは、堅牢性を高いレベルで担保しながら、快適な操作性を実現したことだ」と説明。ユーザーアンケートを紹介し、「Kasperskyを使い続ける理由で一番多いのがウイルス検知率だった」と述べた。

 また、ネットの脅威の傾向を説明した上で、「2008年以降のマルウェアは、より難解で巧妙化した『マルウェア 2.0』になるだろう」とし、それに対抗するため、Kaspersky 2009年版ではウィルス検知エンジンを最初から作り直したという。


ジャストシステムの横井太輔氏 マルウェア 2.0 Kasperskyの進化の課程

アプリケーションルール設定で常時監視の負担を軽減

ジャストシステムの加納正喜氏
 ジャストシステムのアライアンスビジネス部セキュリティビジネスグループKasperskyプロジェクトの加納正喜氏は、「Kaspersky 2009のコンセプトは、『軽さ』『速さ』『強さ』」と説明。新エンジンの採用により、起動やスキャン時間の短縮を図ったことや、第三者調査機関から得た評価などを紹介した。

 システム監視面では、「プロアクティブディフェンス」に追加したアプリケーションルール設定を詳しく説明した。「従来の常時監視では、厳重がゆえに警告のポップアップが多く表示され、ユーザーにとっては煩わしさや誤操作の原因になっていた」とし、あらかじめ安全なアプリケーションを設定しておくことで、ユーザーやPCへの負担を少なくしたという。

 信頼のおけるアプリケーションは、「ホワイトリスト」に追加し、「信頼済みグループ」に設定する。アプリケーションルール設定(HIPS技術)では、「信頼済みグループ」のほか、デジタル署名付きアプリケーションの「弱い制限付きグループ」、ヒューリステック分析が必要な「強い制限付きグループ」、定義ファイルにあるプログラムである「禁止グループ」の全4段階に振り分けている。これらのルールに基づき、アプリケーションの動きを監視する。

 このほか、「Kaspersky Internet Security 2009」では、キーロガー対策として「セキュリティキーボード」を追加した。同機能は、Webサイトなどでパスワードを入力する際、ソフトウェアキーボードを表示・利用するものだ。フィルタリング面では、ペアレンタルコントロールを強化。サイトのトップページより下の階層のアクセスブロックにも対応した。さらに、PCの操作履歴を削除する「プライバシークリーナー」などを追加した。


メイン画面 リスクレベルの表示 警告表示

システム監視 HIPS技術とプロアクティブディフェンス マルウェア対策

オンライン監視 フィルタリング 機能比較表

利用促進キャンペーンも実施

 最後に横井氏が製品キャンペーンについて説明した。「Kaspersky 2009新発売直前キャンペーン」として、9月11日から10月2日の期間中に「Kaspersky 7.0」のパッケージを購入したユーザーは、2009年版へのバージョンアップが無料になるほか、ライセンスを30日間延長する。

 また、「ウイルス掃討大作戦」キャンペーンとして、Kaspersky 2009シリーズ試用版の利用期限を30日間から60日間に延長するほか、抽選で100ユーザーに試用期限1年間延長キーをプレゼントする。9月25日から11月3日に試用版をダウンロードしてインストールしたユーザーが対象となる。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.justsystems.com/jp/news/2008l/news/j09101.html

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( 野津 誠 )
2008/09/10 18:52

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