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著作権保護期間の延長問題は継続課題に、文化審の小委員会が中間整理


文化審議会著作権分科会の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」第6回会合
 著作権保護期間や著作物の利用円滑化などについて議論を行っている文化審議会著作権分科会の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」は18日、これまでの議論を踏まえた中間整理をまとめた。中間整理では、著作権保護期間の延長については「十分な合意が得られたという状況ではない」として、引き続き検討することが適当であるとしている。

 著作権の保護期間をめぐっては、国内の著作者団体などが「著作者の死後50年」から「著作者の死後70年」への延長を求める一方、保護期間の延長には反対の声も挙がり、2007年から文化審議会著作権分科会の小委員会で議論が続いている。

 中間整理では、保護期間のあり方について「いずれの論点についても、保護期間延長に肯定的な立場と否定的な立場の両方の立場からの意見が様々に出されている」として、延長した場合・延長しない場合のメリットについての議論も十分な合意が得られた状況にないため、引き続き検討が必要だとしている。

 また、著作物の利用円滑化方策については、「多数の権利者が関わる場合」「権利者が不明の場合」「アーカイブ事業」などについての検討が行われ、アーカイブ事業についてはひとまず国会図書館において納本された後にデジタル化できるよう、法的な措置を講じることが必要であるとされたものの、その他の項目については引き続き検討課題となった。

 こうしたことから、中間整理では今後の議論について、保護期間のあり方について検討を深めるとともに、利用円滑化方策も踏まえて保護と利用のバランスについて調和の取れた結論が得られるよう検討を続けることが適当だとしている。

 参加した委員からは、中間整理に対しての異論はほぼ挙がらなかったが、今後の小委員会での議論の進め方については、利用の円滑化を進めることで保護期間を延長した場合のデメリットは大部分が解消できるといった意見や、保護期間の延長ではなく現役のクリエイターへの保護を厚くすることの方が重要だという意見、単に保護期間の延長問題だけではなくトータルバランスとして制度を検討していくべきといった意見などが挙がった。

 中間整理については、10月に開催される文化審議会著作権分科会に報告された後、パブリックコメントの募集が行われる予定となっている。


関連情報

URL
  著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会
  http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/index.html

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( 三柳英樹 )
2008/09/18 19:31

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