ニコンは7日、インターネットに接続できるヘッドマウントディスプレイ「UP(ユーピー)」を発表した。価格は標準機能を備えた「UP300」が5万9800円、高機能版の「UP300x」が6万9800円。UP専用ECサイト「UPSTORE」で販売する。10月15日から予約を開始し、初回予約分出荷は12月中旬の予定だ。
● Wi-Fi対応でWebサイト閲覧・動画視聴が可能
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UP
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「UP」は、ディスプレイとヘッドフォン、AVプレーヤー、Wi-Fi通信機能などを一体化した製品。密閉ダイナミック型ヘッドフォンの片側にある小型ディスプレイで映像を視聴する。ディスプレイは1677万色表示が可能。片目で見ることになるが、1m先で17型相当の画面を見るイメージだという。
操作系はスピーカーの外側に設置されており、片手で操作できる。ジョグダイアルでメニューを選び、左右にあるボタンで決定やキャンセルなどを行う。その下にボリューム調整ボタンもある。高機能版は「モーションセンサー」を内蔵し、頭を上下左右に動かすことでメニューを操作することも可能だ。
Wi-Fiに対応しており、無線LANでインターネットに接続できる。通信規格は802.11b/g。UP専用の動画配信サービスを利用できるほか、Webサイトの閲覧も可能だ。WebブラウザはHTML4.01準拠で、フレーム、JavaScriptにも対応。動画はMPEG1/MPEG2/WMV9/SWF形式に対応する。内蔵メモリの容量は、UP300が4GB、UP300xが8GB。USBコネクタも備える。
また、UPユーザー向けの動画配信サービス「UPLINK」を開始する。利用は無料。「UPLINK」は、専用のPCソフトを利用して、コンテンツ配信サーバーから動画をダウンロード、あるいはストリーミングで視聴できる。Podcast用コンテンツにも対応。同ソフトでは、ダウンロードしたコンテンツの管理や、UP本体の各種設定なども行える。なお、「UPLINK」で扱う動画の提供元や数は検討中という。
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本体の製品ロゴ
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電源スイッチ
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USB端子を接続可能
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● ニコン初の映像出力機器
ニコンは同日、都内で「UP」の記者発表会を行った。同社の木村眞琴取締役兼専務執行役員映像カンパニープレジデントは、ブランドメッセージ「At the heart of the image」について説明。「写真がフィルムからデジタルになる中で、写真の持つエモーショナルな部分に貢献できる企業でありたい」と話す。
「デジタル時代になり、写真の伝え方や見せ方が期待されるようになった。ユーザーに、写真を撮った後の楽しみを提供したい」と述べ、「我々はカメラブランドから、デジタルイメージブランドに変わっていきたい」とした。その流れの中でニコンは、2007年8月に写真共有サービス「my Picturetown」を開設した。
木村氏は、「my Picturetownを中心にして、いろいろなハードやソフト、サービスを展開し、デジタルイメージ全体をカバーできるブランドになりたい」とコメント。「UP」はその一環であり、ニコンがリリースする初めての映像出力機になるという。
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ニコンの木村眞琴取締役兼専務執行役員
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ニコンのブランドコンセプト
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デジタルイメージングブランドへ
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● 世界展開視野、2013年度で300万台見込む
ニコンの風見一之執行役員映像カンパニー開発本部長は、製品コンセプトについて説明。「オールインワンで気ままな視聴スタイルを実現する『Style Free』」「リフラクタブルで、自由な時間と場所で視聴できる『Time&Location Free』」「UPLINKと無線LANで気軽にコンテンツを入手できる『Link Free』」といった3つのフリーを提供するという。
また、「UP」が属するニコンの新しい製品カテゴリとして「メディアポート」を設けた。製品名「UP」の由来は、Universal Port、Ultimate Player、U(your)Partner、U(your)Pleasure、U(your)Powerなど、製品の多くの性能やさまざまな方向性を表現する言葉の頭文字をとったものだという。「iの時代からU(あなた)の時代へモバイル機器を進化させたいという思いを名前にした」とのこと。
主なターゲットは、25歳~35歳の男性会社員やクリエイターなどの「先進高感度層」で、「UPにより、情報を自由に使いこなして、自分の価値を高めたいと考える人に使って欲しい」とした。「UPの登場により、入力(カメラ)から共有(my Picturetown)、出力までを揃えたソリューションフレームができた。今後、静止画・動画といった個人の持つコンテンツを皆で共有しながら、楽しむというデジタルイメージング文化を手伝いたい」と述べた。
「UP」の市場展開だが、当初はネット販売となり、その動向を見た上で国内チャネルを拡大する。将来的には世界展開も視野に入れる。「2013年度にはワールドワイド含め300万台を見込む。はっきりとした目標というよりは、こういった市場を形成していきたいという考え」と説明した。
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ニコンの風見一之執行役員
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製品コンセプト
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事業領域・顧客層の融合・拡大へ
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● 「UP」で視聴できる動画共有サービスも予定
ニコン映像カンパニーマーケティング本部第一マーケティングの加藤茂プロジェクトリーダーは、「UP」のサービス面について説明した。「UPは、出力機器とサービスから構成される新しいコンセプトの製品」とし、まず機器の技術ポイントを解説した上で、UP専用サービス「UPLINK」を紹介した。
「UPLINK」では、「UP」向けに専用のコンテンツ配信サーバーと専用ソフトを用意する。ユーザーは、製品に付属するソフトをPCにインストールし、ネットを通じてコンテンツを入手したり、そのコンテンツを「UP」に転送できる。Webサイトのブックマークを作成して「UP」に転送し、サイトを閲覧することも可能だ。
コンテンツ配信方法は、「UPdownload」「UPstream」を用意する。「UPdownload」では、ネット上からコンテンツを入手し、PCに保存した後、「UP」に転送して視聴する。「UP」に直接保存することも可能だ。「UPstream」では、本体のWi-Fi通信機能を使い、無線LAN環境下でコンテンツを取得・再生する。「UP」のメモリ空き容量に左右されることなく視聴できる。また「UPLINK」は、任意の動画を選択・視聴する「チャンネル型配信」のコンテンツを用意する。コンテンツホルダーは検討中だ。
「UP」の発表に併せて、製品サイトのほかにユーザー参加型情報サイト「UPLAB」のベータ版を開設した。当初は、「UP」に関する最新情報や開発背景を掲載しているが、今後は、「UPLAB@my Picturetown」として、動画共有サービスも提供するという。
このほか、製品情報発信のリアルスペースとして、東京の表参道ヒルズ内にタッチ&トライコーナー「UPLAB」を設置する。製品初回予約分出荷までの期間中、「UP」を体験できる。製品を6台設置するほか、説明員が3人ほど常駐するという。
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ニコンの加藤茂プロジェクトリーダー
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コンテンツ配信システム
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付属の専用ソフト
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ダウンロード配信の場合
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ストリーミング配信の場合
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動画共有サイトのイメージ
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表参道ヒルズ本館地下3階のイベントスペースPE43に「UP」タッチ&トライコーナーを設置
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オンライン販売前に「UP」を体験できる
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同コーナーで購入予約はできない
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2008/1007_up_01.htm
製品情報
http://www.upxup.jp/
関連記事:ニコン、無料で2GBのオンラインアルバム「my Picturetown」[BB Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/19272.html
( 野津 誠 )
2008/10/07 20:37
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