精密加工装置を販売するディスコは21日、同社製品にセキュリティ対策ソフトを組み込むと発表した。半導体製造工程でシリコンウェーハからICチップを切り出す装置「ダイシングソー」について、今後はセキュリティ対策ソフトを標準搭載して出荷する。
ディスコによれば、昨今では精密加工装置が海外で使用される際、USBメモリ経由でのウイルス感染が深刻化しているという。しかし、ユーザー企業における対策としては「私物のUSBメモリを使わない」などの注意喚起を行うしかなかったとしている。
カスペルスキーのセキュリティ対策ソフトを装置側に導入することで、ユーザー企業は、マルウェアに感染したUSBメモリを接続した場合でも装置への感染を防げる。また、感染の事実も把握できるため、社内システムへの迅速な対応が可能になるという。
ダイシングソーはオフライン環境で使われることが多いため、通常のダウンロードによるパターンファイル配布は行わない。ユーザー企業は、ディスコのサーバーから配信されたパターンファイルをUSBメモリにコピーして、ダイシングソーに適用することになる。
ディスコによれば、半導体製造装置に組み込み型のセキュリティソリューションを導入するのは業界では初めて。
● USBメモリ管理は「注意喚起だけでは難しい」
ディスコとKaspersky Labs Japanでは21日、露Kaspersky LabでCEOを務めるユージン・カスペルスキー氏と、牧野総合法律事務所の牧野二郎弁護士らを招いて、企業セキュリティに対するディスカッションを開催した。
カスペルスキー氏は「PCや携帯電話だけでなく、車や航空機、カメラなどあらゆる機器がセキュリティの脅威にさらされている」と指摘。産業用装置についてはUSBメモリ経由でウイルスに感染する事例も増えているとして、カスペルスキー製品が組み込まれたダイシングソーの優位性をアピールした。
また、牧野氏は、社員が持ち込んだUSBメモリにウイルスが感染していることによって、「ファイアウォールの内側から穴が空くケースが増えている」とコメント。産業装置を使う企業では、USBメモリの利用を管理しても難しいケースがあると述べ、産業用装置にセキュリティ製品を組み込むことが、セキュリティを大きく向上させるなどと話した。
|
|
Kaspersky LabでCEOを務めるユージン・カスペルスキー氏
|
牧野総合法律事務所の牧野二郎弁護士
|
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.disco.co.jp/jp/news/press/20081021.html
■関連記事
・ USBワームの仕組みと対策、トレンドラボのアナリストが解説(2008/08/20)
( 増田 覚 )
2008/10/21 18:25
- ページの先頭へ-
|