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慶應SFC研究所と企業4社、研究開発目的の地域WiMAX運営会社を設立


(左から)慶應義塾大学の國領教授、小檜山名誉教授、村井教授、インテックの鈴木氏、ジュピターテレコムの加藤氏、ブロードバンドタワーの古田氏、慶應義塾大学の中村教授
 慶應義塾大学SFC研究所と、インテック、ジュピターテレコム(J:COM)、ブロードバンドタワー、ワイドリサーチの企業4社は20日、地域WiMAXを利用した研究開発活動の推進に関して合意したと発表した。企業4社が共同で地域WiMAXの通信サービス運営会社を設立し、2009年4月に神奈川県藤沢市を中心としたエリアで通信サービスを開始。慶應義塾大学SFC研究所が設立する産官学共同研究コンソーシアムに対して、通信サービスを提供する予定だ。

 地域WiMAXは、デジタルデバイドの解消や地域サービスの向上などを目的として、「固定系地域バンド」と呼ばれる2.5GHz帯(2575MHz~2595MHz)の周波数を利用するWiMAXによる通信の免許を市区町村単位で割り当てるもの。現在、全国で40を超える企業などが免許または予備免許を交付されている。

 企業4社では、地域WiMAXのサービス運用会社として「湘南オープンワイヤレスプラットフォーム合同会社(仮称)」を共同出資により設立。地域WiMAXの免許取得に向けた動きを開始し、2009年4月に神奈川県藤沢市を中心としたエリアでのサービス運用開始を目指す。サービス開始当初は、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスから湘南台駅付近までをカバーする範囲に基地局を設置する予定としている。

 共同会社では、地域WiMAXによる通信サービスを慶應義塾大学SFC研究所が新たに設立する「アンワイヤード研究コンソーシアム」に提供。コンソーシアムでは、地域WiMAXを活用したビジネスモデルや機器を開発する企業などを募り、産官学による共同の研究開発、実証などのプロジェクトを推進する。


神奈川県藤沢市を中心としたエリアで地域WiMAXの実証実験を行う 企業や団体はSFC研究所が設立するコンソーシアムを通じて研究に参加

慶應義塾大学環境情報学部の中村修教授
 サービス運用会社の技術顧問を務める慶應義塾大学環境情報学部の中村修教授は、「これまでの日本のワイヤレスサービスは、1社がインフラからサービスまでを提供する垂直統合型だった」として、固定網においてはインターネットがこの10年でそうした構造を大きく変えてきたように、ワイヤレスにおいてもWiMAXの登場が変化のきっかけになると説明。誰もが参加できるオープンなWiMAXプラットフォームを構築することで、新たなビジネスモデルやサービスを創造していきたいと語った。

 サービス運用会社に参画するJ:COMの加藤徹取締役は、「CATV事業者として以前から地域WiMAXについて検討してきたが、企業単独でのビジネスモデルには限界を感じていた」として、多数の企業が参加できる今回のプロジェクトには期待していると説明。J:COMでは藤沢市でも「J:COM湘南」として事業を展開しており、今回のプロジェクトでも基地局へのアクセスラインを提供していくとして、プロジェクトへの参加により地域に根ざしたビジネスモデルの開発やオペレーションのノウハウ獲得などを目指し、他の地域への展開にもつなげていきたいと語った。

 研究コンソーシアムの代表を務める慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授は、「インターネットは大学から地域・産業へと広がっていき、社会にとって欠かせないインフラになってきた」として、「アンワイヤードの世界ではWiMAXがシンボリックなデバイスになる。無線が情報社会の基盤としてどのような役割を果たしていけるのかを考えるのが、これからの5年間になると思う」とコメント。また、「慶應大学の湘南藤沢キャンパスは来年で20周年を迎えるが、地域と密着したキャンパスを作っていくという流れの中で、こうした事業を展開していくことを楽しみにしている」と語った。


関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.intec.co.jp/news/pdf/081120_1.pdf


( 三柳英樹 )
2008/11/20 20:51

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