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欧州文化遺産のマルチメディア図書館「Europeana」一般公開


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 欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、欧州の文化遺産を検索できるマルチメディア図書館ポータル「Europeana」を一般公開した。現在、計200万点の書籍、音声、映画、写真、絵画、地図、手書き原稿、新聞、その他のドキュメントをアーカイブしている。

 Europeanaは2005年に欧州委員会によってプロジェクトが開始され、欧州議会の支持を受け、EUのすべての加盟国が関与しながら準備が進められてきた。現在、欧州に散らばる1000を超える図書館や博物館などの文化組織がEuropeanaに関与している。

 Europeanaは、「Google Book Search」などの商業的なプロジェクトとは異なり、あくまでも欧州の文化遺産を21世紀に残し、利用できるようにするための文化的なプロジェクトという位置付けだ。

 Europeanaのポータルサイトで検索を行うと、該当するアイテムが小さな画像および説明文とともに表示される。これをクリックするとコンテンツが再生されるが、コンテンツそのものはEuropeanaの中央サーバーではなく、実際に所蔵している博物館などの組織のサーバーから再生される。そのため、すべてのコンテンツに関して所蔵する機関が完全なコントロールと権利を保持する形式を取っている。

 20日の一般公開時点で、200万点のアイテムを検索できる。その中には、ベートーベンによる第九、フランス独立宣言、1215年の英国マグナカルタ憲章、物理学者ガリレオ・ガリレイの家と墓の写真、オーストリアからはモーツァルトによる楽譜、ポーランドからはショパンによる手書き原稿など、日本でもよく知られている文化遺産をネット上で見ることができる。

 Europeanaでは2010年までに、1000万点のアイテムを検索できるようにし、完全公開を行う計画を立てている。その最も大きな障害となるのが、コンテンツのデジタル化作業だ。現在、欧州の図書館や博物館のアイテムに関していえば、1%しかデジタル化されていないとされる。そのため、EUが資金を拠出し、デジタル化作業を進めたい考えだ。

 現時点では、Europeanaにコンテンツを収容できるのは文化組織に限定されている。しかし2010年の正式オープン時には、貴重な写真や文章などの個人コレクターもアイテムをアップロードできるような機能が利用可能になる見込みだ。

 Europeanaは20日に公開されたが、日本時間21日朝の現時点では非常にアクセスしにくい状態が続いている。


関連情報

URL
  Europeana(英文)
  http://www.europeana.eu/
  ニュースリリース(英文)
  http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/1747&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
  FAQ(英文)
  http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/08/724&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/11/21 12:49

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