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「Appleがセキュリティソフトを推奨」の報道に米広報がコメント


 米Appleが戦略を変え、ウイルス対策ソフトの利用を推奨したとの記事が3日、世界各国のメディアで報じられた。しかし、この内容は誤解を含むものであることがわかった。

 この騒動は、複数のセキュリティ関係のブログが、Appleの新しいサポートアドバイザリ(Knowledge Base)を発見したと報じたことから始まったものだ。

 アドバイザリには、「アップルでは、ウイルスプログラマが複数のウイルス対策プログラムの回避を考えなければならない状況にして、ウイルスの作成が困難になるように、より多くのウイルス対策ユーティリティを幅広くご利用いただくことを推奨します」とあり、Mac向けの3つのウイルス対策ユーティリティ(Intego VirusBarrier X5、Symantec Norton Anti-Virus 11 for Macintosh、McAfee VirusScan for Mac)を挙げていた。日本語版のアドバイザリも用意されており、そこでは1種類(Norton Anti-Virus for Macintosh)が挙げられていた。報道後、Appleがこのアドバイザリの掲載を取り下げたことから、騒ぎはより大きくなった。

 しかし、Internet Archiveなどに残っている記録を見ると、少なくとも2008年1月時点で、同じ内容のコメントを含むサポートアドバイザリが存在していたことがわかる。もっと昔から存在していたとの情報もあるが、米Appleもその時期までは把握していないようだ。つまり、Appleとしては新たな見解を発表したわけではなく、最近になってサポート文書が一部更新されたために誤解が生じたのではないかと考えられる。

 米Appleの広報は、「KnowledgeBaseの記事を削除したのは、それが古く不正確だったからだ。Macでは、悪意のあるソフトウェアやセキュリティ上の脅威から保護するテクノロジーを最初から組み込んで提供している」とコメント。ただし、「100%すべての脅威から安全なシステムは存在しないので、ウイルス対策ソフトウェアを使用することは付加的な保護となるかもしれない」としている。

 Appleでは、Windowsとの比較広告の中で、Windowsユーザーはウイルスに悩まされるが、Macは心配しないで済むといった主張をしていた。そういった経緯が、今回Appleが戦略を転換したとして騒ぎになった要因でもあるだろう。

 しかし現実に目を移せば、Macを対象にしたウイルスやトロイの木馬は次々に発見されており、AppleもMac OS XやSafariの脆弱性を随時修正している。脆弱性が存在するということは、攻撃できる可能性があるということだ。また、ソーシャルエンジニアリング的な手法では、攻撃される可能性はどのOSのユーザーにもある。

 今回の騒動は、Macユーザーにとってセキュリティの重要性をあらためて認識するための良いきっかけとなるのかもしれない。


関連情報

URL
  サポートアドバイザリ(現在は削除されている)
  http://support.apple.com/kb/HT2550


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/12/04 13:37

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