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地図上の文字を直接クリッカブルに、ヤフーが「ぽ地図」実験公開


横浜・中華街の「ぽ地図」。地図上でクリックした店舗の詳細情報が左側に表示される

横浜・元町の「ぽ地図」。この画面では、「お気に入り★」タブに登録されてる店舗を一覧表示している
 ヤフーが運営する地図・位置情報の実験サイト「LatLongLab」(旧ALPSLAB)で4日、「ぽ地図」を公開した。地図上にある店舗名などの文字を直接「ぽちっ」とクリックし、詳細情報を参照できるのが特徴。現在、東名阪の24エリアを提供している。

 ヤフーによると「ぽ地図」は、従来のWeb地図における表示の問題点を解決する「次世代風都市地図」として提案するもの。現在の地図サイトでは、地図じたいは編集されて見やすくなっているが、店舗などの周辺情報と組み合わせる場合、アイコンを地図上にプロットするマッシュアップ手法では限界があるという。店舗が密集している場合、アイコンが互いに重なってしまうほか、背景の地図も見にくくなるためだ。

 これに対して「ぽ地図」では、地図上に書かれた「注記」と呼ばれる文字そのものをクリッカブルにすることで、アイコンをオーバーレイ表示する必要をなくす。クリッカブルな文字にマウスオーバーするとハイライト表示されるため、そこでクリックすればよい。

 ヤフーによれば、Webページでは当たり前のこのインターフェイスがこれまで地図では実現されていなかった。「ぽ地図」では、“そこにある答えに、すぐ手が届く”というキャッチフレーズを掲げており、「HTMLページと同じように地図をブラウズできるようにした。地図を直接クリックできることの操作感を提案したい」としている。


横浜・中華街や神戸・元町など、店舗の密集エリアで効果を発揮

現在公開している「ぽ地図」のタウンリスト。画面は東京・渋谷の地図だが、クリッカブルポイント(注記文字)の密集度は比較的小さい
 「ぽ地図」で現在公開しているエリアは、関東では東京駅、銀座、秋葉原、池袋、新宿、渋谷、横浜駅、中華街、元町(横浜)、東海では名古屋駅、栄、大須、岐阜柳ヶ瀬、関西では梅田・北新地、心斎橋、難破・道頓堀、川原町、祇園、清水寺、哲学の道・銀閣寺、奈良、三宮、元町、ハーバーランド。

 文字を直接クリックできるというメリットは、店舗などが密集している地域で効果を発揮する。例えば、横浜の中華街と元町を合わせた約1.8平方キロメートルの範囲に約1200個所、名古屋駅と栄を合わせた1.6平方キロメートルの範囲に約4100個所、大阪の梅田・北新地、心斎橋、なんば・道頓堀を合わせた約6平方キロメートルの範囲に約7000個所ものクリッカブルポイントがあるという。東京は、実際に地図を見てみればわかるが、比較的密度は小さく、東京駅、銀座、秋葉原、池袋、新宿、渋谷を全部合わせた約25平方キロメートルで約7700個所だという。

 実はこれらのエリアは、書籍版の「アトラスRDX」など、紙で出版されている地図においてタウンマップとして提供していたものをベースにした。そこでは、注記文字をどう記載すれば見やすくなるのかといった紙の地図制作のノウハウが活用されているほか、店舗名をピックアップする基準もあり、あらかじめ見やすいように編集されているのだという。例えば、隣の店舗名と重ならないよう文字を記載する向きを調整したり、文字が道路にかからないようにするといったセオリーがあるとしている。

 ただし、これらの注記は地図上に固定されている情報と言え、業種などで表示・非表示を選択することができない。また、縮尺も現在のところは1/1500の1種類のみとなっている。今後、通常のWeb地図で一般的に採用するまでにはまだハードルがあるようだ。

 ヤフーでは「ぽ地図」を使うシチュエーションとして、近所に何があるのかを漠然と探すような「コンテクストがない周辺情報検索」を挙げる。例えば「近くのラーメン店を知りたい」というような特定の目的がある場合は、従来のアイコンをプロットするマッシュアップ手法でもそれほど支障はない。しかし、あらゆる種類の飲食店の中から気になるものを選ぶような場合は、前述のようにアイコンだらけになるといった問題がある。

 また、地図上の文字列は画像として表示されているため、マウスドラッグで選択してコピーすることができない。そのため、地図を何となく眺めていて、気になる店舗名が記載されていた場合でも、検索ボックスなどに手動で入力し直す必要があり、字を間違える可能性もある。こうした検索操作の手間も「ぽ地図」の手法で解決できる。


Yahoo!の各種サービスとも連携し、店舗情報の“まとめページ”に

自分を含めた全ユーザーがクリックしている文字の一覧が表示される「now POCHI」タブ。表示している地図は神戸・元町
 「ぽ地図」で参照できる詳細情報は、クリックした店舗の名称、電話番号、住所、業種など。ヤフーの周辺検索APIを使って情報を参照し、ページ左側に表示する。このほか、ウェブ検索および画像検索での検索結果の抜粋も表示する。

 周辺検索APIにクエリを投げる際、店舗名だけでなく、住所情報も組み合わせるため、隣接するブロックに同じ名称の複数の店舗があるようなチェーン店でも、かなりの確率で正確な店舗情報が表示されるという。また、手動検索では絞り込むのに手間がかかる、例えば「たなか」などのような各地によくありそうな店舗名でも一発で詳細情報を参照できるとしている。

 今後は、「Yahoo!グルメ」「Yahoo!ヘルスケア」「Yahoo! FASHION」「Yahoo!映画」「Yahoo!学習」「Yahoo!地域情報」「Yahoo!リクナビ」「Yahoo!無線LANスポット」「Yahoo!トラベル」「Yahoo!電話帳」とも連携して、それぞれ提供している詳細情報も参照できるようにするほか、いずれはブログの口コミも見られるようにしたいとしている。

 ヤフーでは、「『ぽ地図』は、周辺情報のお勧め検索結果を、注記文字としてタウンマップ上に表示している状態」と表現。さらにその注記をクリックすることでYahoo!が保有する各種詳細情報が参照できるようになれば、周辺情報の“まとめページ”的な位置付けになるとしている。

 「ぽ地図」ではこのほか、店舗名をクリックして気に入った情報があった場合に、お気に入りに登録できる機能も備える(Yahoo! JAPAN IDで利用可能)。詳細情報には、その店舗がお気に入り登録されている件数を示す★印も表示されるため、「ぽ地図」における人気の程度もわかる。また、実際にクリックされている文字をリアルタイムに一覧表示する「now POCHI」もある。


関連情報

URL
  ぽ地図
  http://latlonglab.yahoo.co.jp/pochi/

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( 永沢 茂 )
2008/12/04 21:22

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