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霞ケ関クラウド、デジタルシルクロードなど2015年のICTビジョン


 総務省は20日、2008年10月から開催している「ICTビジョン懇談会」の中間取りまとめを公表した。2015年ごろを視野に入れた総合的なICT(通信情報技術)政策のビジョンを示している。

 中間取りまとめでは、「ユビキタスネットワーク上で、膨大なコンピューティング能力・ソフトウェア群を介して知識・情報が瞬時に流通・共有化され、それによって付加価値が創造される社会」すなわち「知識・情報経済立国」の実現を基本戦略に掲げる。

 それに向けて、1)すべての社会経済活動の支えとなる「ICT基盤層」、2)ICT基盤層を生かして効率性や付加価値の向上を目指す「ICT利活用層」、3)それらの上で多様な知識・情報が流通する「知識・情報層」――という、ICTエコシステム(生態系)を構成する3つの層を強化・推進・加速すること、およびこのエコシステム全体のグローバル化を図ることを政策の4本柱として展開していく。


ICTエコシステム(「ICTビジョン懇談会中間取りまとめ(概要)」より)

 例えば、ICT基盤の強化については、2011年7月のアナログ地上テレビ停波によるネットワークの完全デジタル化の確実な実施や、デジタル化完了後をにらんだTCP/IPを前提としない新世代ネットワークの実用加速化、安心・安全なネットづくりの推進などが含まれる。

 また、ICT利活用の推進については、まずは政府が率先して取り組む必要があるとし、革新的電子政府の構築を掲げる。各府庁の業務システム用ハードウェアの統合・集約化するとともに、共通機能のプラットフォーム化を図る「霞ケ関クラウド」や、行政情報に関するアカウントを国民ひとりひとりに発行し、必要な行政手続きの有無などを一元管理する「国民電子私書箱」などを示している。

 知識・情報流通の加速化では、クリエイティブ産業の育成を目指し、小・中学校において、映像コンテンツ制作力やPCを使った資料の作成・発表能力を養成するための授業・カリキュラムの導入を検討する。

 さらにグローバル化に関しては、アジア全体でICTの基盤整備や利活用の促進を図る「アジア知識・情報流通圏構築イニシアティブ」の推進や、さらにはアジアから中東、アフリカなどとも共同で人材育成や国際研究を行う「デジタルシルクロード構想(仮称)」の推進などを掲げている。

 「ICTビジョン懇談会」では、さらにビジョンの具体化に向けた検討を行い、6月に最終取りまとめを発表する予定。一方、政府の「IT戦略本部」は6月に新戦略を決定する予定となっており、同本部や同じく政府の「知的財産戦略本部」などでもビジョンの実現に向けた施策が推進される見込みだ。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin01_000010.html


( 永沢 茂 )
2009/04/21 17:54

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